ナンパ

天川裕司

ナンパ

タイトル:ナンパ


「もう急いでますので」

その日、私はナンパされ続けた。


「ねぇどっか食べに行こうよ?おごるからさ♪」


ほんとしつこかった。

人通りの無い道を歩いたのが間違いだ。


私はとにかく足早に歩く。

そいつも足早についてくる。


「もうほんとイイ加減にしてもらえませんか!」

心の中で何度も叫んだ。

でも実際には口をきかない。

この手の輩には、

実際、口をきかないのが効果的。

昔、友達から教わったこと。


そしてずーっと歩き、

曲がり角を曲がろうとした時だった。


「ねぇどっか食べに行こうよ?おごるからさ♪」


「うわっ!?…え?!…な、なに…」

本当にびっくりした。


なんとさっきまで

後ろをついてきたこの男が

いきなり曲がり角を曲がって、

私の前から現れたのだ。


そしてその男は

私の体をすり抜けるように歩いて行き、

すうっと消えたみたい…


ぱっと後ろを振り向くと誰も居ない。


これは数日前の話だが、

後から聞いてまた恐怖した。

私が歩いて居たあの道は

巷では「ナンパ御殿の道」と呼ばれたそうだ。


「御殿」というのは

どうやら天国・地獄の様な

あの世の事を示していたようで、

よくナンパする男が現れたその道には

いつしかその男がもう現れなくなった…

と言う伝説めいた噂が残ってた。


その男の身におそらく何かあった…

だから…


私はそれからその道を歩くのを

とりあえずやめた。


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=GJp2-KlZsMc

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ナンパ 天川裕司 @tenkawayuji

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