第12話 対決!

アスタside


「……やっぱり僕って良くない事したのかな?でも村の皆の事を考えると後々こうせざるを得なかったし。僕はやるべき事をやった筈だよね……?」


 僕は焼けた森の川のほとりで独り過ごしていた。もう視界から消した筈なのに彼女のあの目が忘れられない。何でこうなってしまうんだろう。

 暫く物思いにふけっていると突然長老から魔法でメッセージが来ていた。


「アスタ……村の皆が……すぐに戻ってきてくれ!襲撃してきた敵は一人じゃ!」


 な……何だと!一体誰がそんな事を……!此処ら一体はもう敵らしい敵はいなかった筈……。となると転移魔法で遠くから来た奴か?こうしちゃいられない。

 僕はすぐにアナスタシアとルビナスにメッセージを送った。彼女達はすぐに僕の元に駆けつけた。


「今から村に戻るぞ!襲撃者が来たらしい!」


「分かりました――!」


「さて、行きますか!」


 3人で魔法で村に戻り、襲撃者を探す。村が大炎上していて酷い有様だ。すぐに見つけないと……。

 暫くして僕達は襲撃者を見つけた。しかし、その正体は意外な人物だった。


「あらあら……アスタ遅いじゃなぁい?私直々に貴方を始末しに来たわ!」


「ラクス……。一体何故!ドゥークの差し金か……?」


 襲撃者の正体はラクスだった。僕は驚きながらも何が目的かを問う。


「いやぁ実はね……ドゥークとはもう関わらない事にしたの。方向性の違いでね。それはそれとして私貴方が昔からとっても気に入らなかったの。いつまでも成長しないくせにsランクパーティにいれてもらっている貴方の様な害虫が。だから消しに来たの」


 ラクスは語り始める。


「パーティの輪を乱す害虫なのにいつまでたってもいるんだから。あ!ちなみにクビを提案したのは私よ?ドゥークにセクハラされたとか襲われたとかある事無い事吹き込んじゃった!ご――めんね?」


 彼女は猫のポーズを決めてウインクしながら僕を煽る。こいつ……この野郎!


「でもね?後からドゥークが迎えに行くとかふざけた事を抜かしたの。私の策略で貴方を追い出したのにそんな事されたら水の泡ですわ!だからその前に私の手で殺しますわ!」


「む、村の皆を襲ったのは何故だ!」


「だってドゥークから聞いた限り貴方この人達を大事にしているんでしょう?宝物を壊して殺した方がとってもエクスタシーですわ!」


 ラクス……こんな事を考えていたなんて……。もう仲間としての慈悲は捨てよう。粛清だ。


「2人は手を出さないで。これは僕の戦いだから」


「格好つけてる暇なんか有るのかしら?この害虫!喰らえエクスプロージョン!」


 彼女は仮にもレベル80……。油断はできない。そう思っている最中にも彼女は魔法を連発してくる。広範囲爆発魔法のエクスプロージョンだと……。あくまで村も破壊するっていう魂胆らしい。

 とっととケリを付けてやる。


「アルカニックブレイカー!!!」


「フン!またそれですか。それならもうとっくに貴方を監視していた頃に学習済みですわよ。最強火炎耐性付与の魔法で塞げば良いだけですわ。魔法から私の方が上ですから貴方に勝てる訳ありません事よ!」


 彼女は僕に実力差を理解させる為にわざと当たる。だが彼女は知らない。この魔法はチートで作り上げた存在しない魔法だ。耐性があっても意味が無い。


「こんなカス魔法私の前では無意味ですわ!オッホホホホ!」


 自身の魔法に絶対の自信がある彼女は避ける事はありえないと思っているだろう。だがすぐに理解するに違いない。この魔法の格の違いに。


「え……。これ大丈夫ですわよね。火炎耐性のバリアが貫通していって……。な、何で?そんな……そんな……そんな馬鹿な事が……。キャアアアア――!!!」


「ふぅ……」


 何とか一撃で倒したぞ。少しだけ手加減しちゃったな。仲間だったからどうしても殺すのはきつかった。でも……一生ものの傷は残したけど。


「な、何て事……。え……?腕が……」


 彼女の左腕は欠損していた。いくら仲間とは言え、やったのはそっちだからな。


「わ、私の崇高なる美しさの極みである腕がアアアアアアアアア!」


「余りこういう事はしたくなかったけど……一応村の皆を巻き込んだ罰だよ。でも命までは奪いはしない。仲間のよしみで見逃すよ。その代わりにもう姿を見せないでね……」 


 僕は転移魔法で去ろうとする。しかしそれでも彼女は懲りなかった。


「アスタアスタアスタアスタアスタアスタアスタアスタアスタアスタアスタアスタアスタアスタアスタアスタアスタァァァァァァ!!!このまま生かしては返しませんわ!!!死ねぇぇぇぇ!!!!!」


 再び彼女は僕に向けてエクスプロージョンを撃とうとした。しかし、それは撃てず仕舞いに終わった。


「ウフフフフフフ……。アスタ様本当にあまちゃんですね。どうしてもトドメをさせないなら……私ルビナスに彼女をお任せ下さい。しっかり教育しますから。ね?」


「なら……御免だけど任せるよ。僕はもうキツイや」


 僕は今度こそその地を後にした。こんな会話を聞きつつ。


「さぁ……ラクスさん?アスタ様の事しか考えられない様にしっかりお勉強しましょ?ね?」


「やだぁ……やだぁ……。私…何をされるの?怖い……」


 


 


 


 


 


 


 

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