第10話 目
「はいはいこれで……でっきあっがり――♪俺が最強の貴族クルド様だぜ――!フフフフフフ……!こういう事をするのなんか新鮮で楽しいですね――♪」
あの後暫く3人でクルドにビンタし続けた後、死体はルビナスに遊び道具となった。彼女は腕、足、関節に糸を吊るし、まるで人形の様に動かしていた。まあ少しこの扱いには違和感があるが……でも村の人を巻き込もうとしたからね……。正義執行ってやつ?
そういや……獣人の女の子は無事かな?周りを見渡すと木の影の方に隠れて無傷の状態でいた。とりあえず森を燃やされて酷く怯えていた様子だし安心させないと……。
「大丈夫かい?君の名前は?」
「……ルミア」
「ルミアもう大丈夫だよ。僕が悪い人を倒したからね。これからどうする?もし良かったら――」
僕がそう言って手を差し伸べようとしたが、彼女は払い除けた。そしてブルブルと震えながら見つめる。
「……君こういう事は言いづらいけど何か変だよ……。君はさっき何でそんなに楽しそうだったの?それに服装はきれいにしてあるけど下の方にチリみたいなのが付いてあるし……。怖いよ……」
何でそんな目で見つめるんだ?何で……あの時のマルクトと全く同じ目をしてるんだろう?僕は立派に守り抜いた筈だよね……?そんなに変な事したかな……。
「……2人共、僕って異常者なのかな?今回僕はあの貴族からこの娘を守り抜いたよね?なのに変って……。それに楽しく殺してたって自覚も一切無いんだ……」
「私から言ってみるわ。もしかしたらアスタ様が力を出し過ぎてビビってるだけだと思うし……。大丈夫よアスタ様は怖くないん――」
「やだ……。来ないで……」
アナスタシアが安心させようとするも、彼女の恐怖はまだ治まらない。それどころか増大する一方だ。
それに何で……まだあの目を止めないんだ?止めてくれ……それ以上その目で見つめてくるのは……。止めてよ……もう見たくないんだ……。そう僕が思っているとルビナスが近づいて話しかける。
「アスタ様――♪私は何でもお見通しですよ?見たくない物があるんですよね?な――ら――今すぐ見えなくすれば良いんじゃないですか?一番手っ取り早いのはそれです♪それにアスタ様の事を異常者だと思う人はこの世には一切存在しませんもん!」
「ルビナスの言う通りね。此処まで拒絶するんだからね。仕方ないと私は思うわ?」
こんなのもう見たくなかった。だから僕は今すぐ消す事にした。入念に存在しない様に何度も燃やし尽くした。
「パパ……熱い……熱いよ……。た……す……け――……」
最期に彼女は掠れた声でそう言って事切れた。
「……さあすぐに次の村に行きましょう?アスタ様」
「……少し気分が悪いから独りにさせてくれ……」
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