ミスから始まるダンジョンマスター

shiro

第1話

「なんで俺こんなことしてんだろ」


そう言いながら半透明なタッチパネルを弄り、画面に表示された設定を打ち込んでいく。





「····ろ」

「··きろ」

「起きろー!!」

「んぁ?」


気持ちよく寝ていたのに誰だ俺を起こした馬鹿は。


「なんだ、六華りっかか」

「私を見たくせになんで寝ようと⋯してんの!」


二度寝をするため掛け布団に潜り込んだ俺から掛け布団を剥ぎ取る。


「なにすんだ!」

「いいからさっさと学校の準備しろ!!」

「嫌だね、俺はこのまま寝るんだ!」


そう言い敷布団だけで寝ようとすると六華「あぁ、もう」といい俺の右腕を掴み強制的にベッドから地面へと引っ張ってくる。


「ほらっ、さっさと準備しなさーい!」

「だから嫌って言ってんだろ!というか早く離せ落ちるだろ!」

「あんたねぇ!⎯⎯」


数分間そんな言い合いをしていると下から大声で「駿也しゅんやさっさと準備して降りてきなっ」という母からの言葉が聞こえてくる。


俺は渋々制服に着替え鞄を持ち、下へと降りる。


「遅かったね。」

「お前が起こさなかったらまだ寝れてたのにな」

「そもそも学校なんだからさっさと起きなさいよ」

「学校とかどうでもいいんだよ」

「良くないでしょ」

「それがいいんだよ。探索者になればいいんだから」

「探索者なんて危険だからやめときなって。」

「でも、探索者とか楽じゃん」


探索者とは50年前に突如世界中に現れ始めたダンジョンに入る職業であり、1ヶ月に5回ダンジョンに入らなければならないという規約がある代わりに、最低月々30万もの給料が確定であり、ダンジョンの中にいる魔物モンスターを倒すと落とす魔石を換金することで稼ぐこともできる職業なのだ。

だが1つだけ欠点がある。それは⎯⎯


「⎯⎯でも、安全ではないじゃん」


六華が少し悲しそうな声で言葉を発した。


そう、六華の言う通り安全では無いのだ。

探索者は、ダンジョンに潜る。

ダンジョンに潜ると魔物と遭遇する。

その魔物を倒せればそれでいいのだが、魔物を倒せず殺される。ということは良く起こる話だ。

実際探索者は月に最低2桁の人達が亡くなっている。


「それでも5回行けばいいだけなんだからいいだろ」

「それはそうかもしれないけど5回も入って全部生きて帰れるとは思わないよ」

「それがな、最近分かったらしいんだけどダンジョンで魔物を殺すと少し強くなれるらしいんだよ」

「それがあれば死なないって言いたいの?」

「そうだよ」

「でも⎯⎯「あんたらねぇ、食事中に変な話しないの」」

「「はい」」



『おはようございます。時刻は朝の8時です。』


テレビからアナウンサーが時間を告げる声が聞こえてくる。


「やばっ、駿也早くしないと遅れるよ!」

「おー」

「じゃあ、おばさん行ってきます」

「はいはい、行ってらっしゃい」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る