林間学校編

『一式麗華』の場合

さぁ、今日は待ちに待った林間学校よ。

2年生で最初のイベント。

カップル率が上がる日ね。

学校生活が楽しくなるかどうかは、この林間学校にかかってるといっても過言じゃないわ。

私はチャンスを逃さない女よ。

必ず彼を射止めるわ。



お昼はハイキングなのね。

意外とハードな行事ね。

運動靴の方が良かったかしら?

いいえ、このままでいいわ。

この靴の方が、躓きやすいわ。

また彼に受け止めてもらえるもの。

わざとらしくは、良くないわね。

3回くらいは大丈夫でしょ。

ボディタッチを重ねれば、彼もその気になってくれるはず。


問題があるとすれば、そうね…。

やはり、彼女かしら。

二階堂扇にかいどうおうぎ

幼なじみだからって、調子乗りずきよ。

家が隣なのも羨ましいし、登校も一緒だなんて妬けちゃうわ。

今も、彼の隣を付かず離れずに横を歩いてるわ。

水分補給のタイミングもバッチリじゃない。

正妻は私とか思ってるんでしょうけど、それはないわ。

私の方が魅力的だもの。

スタイルがいいもの。

美人だもの。


「二階堂さん、そんな近くだと十方くんが歩きにくいわよ。山登りなんだから、もう少し離れて歩いたらどうかしら?」


「麗華さん、いえ委員長、お気遣いなく。これも幼なじみの役目ですから」



はっ?

何言ってるのかしら?

幼なじみだから隣を歩くですって?

傲慢すぎるでしょうよ。

こうなったら、今すぐどいてもらうしかないわ。

躓き作戦開始しよ。

さぁ、受け止めなさい。


「あ〜れ〜」


「おっと、大丈夫か?」


え?

誰よ?

この筋肉は!

十方じゃなくて九重じゃない。

なんで、こいつがここにいるのよ。

なんで、十方に自分の筋肉見せつけてるのよ。

意味がわからないわ。



結局、残り2回とも九重が受け止めるなんて、なんで予定通りにいかないのよ〜!

こうなったら、奥の手、夜のキャンプファイヤーで、急接近するしかないわ。

確か、ダンスがあったはず。

私の得意分野。

きっと、魅了されるに違いないわ。



やっと、十方と踊れるわ。

まさか、他の生徒とも踊るとは思ってなかったけど、今度は誰にも邪魔されないわ。

真後ろの十方とは、次の入れ替わりで一緒になる。

今のうちに、ウインクだけでもしておこうかしらね。

十方が、こっちを向いたわ。

あ、笑ってくれた。

脈ありね。

勝負ありよ。

さぁ、このまま、華麗にターンしてっと。

さぁ手を取りなさい、十方!



……………はっ?

えっ誰?


って、先生じゃない!

十方は!?十方は!?どこにいったの?

ねぇ!ちょ!音楽始まらないでってば!


とぉーかたーーーーー!!


















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一式麗華がクラスの人の名を言うときは、苗字+さん付けです。男性の場合は、苗字+くん付け。心の中では呼び捨て(十方のみ)

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