第2話 新キャラ登場!?

「はいどうも、もふもふうさぎのエレンです。」

「誰に向かって挨拶してるの、お前。」

「えー、知らん。」

「うわ、わけわかんねえこいつ。」

「うん、なんか本能があいさつしろって言ってた。」

「何それ、どんな本能だよ。」

「知りたい?えっちだな。」

そう言って、エレンが短くもふもふの前足を胸に当てる。

似合ってない。全く似合ってない。うさぎの姿だからだろうか。

「どこがだよ、今のどこの会話がそう思わせるんだよ、お前の感覚がもうわけわかんないよ。」

「そう?」

えへっと、照れたように笑った。

こいつもう本当にわけわからないわ。

「二人とも、あのね、紹介したい子がいるんだけど。」

飼い主のアメリがそう言って隣にあるかごの中から丸い物体を取り出す。

「え?浮気?やめて!飼い主さんは私たち一筋なんじゃないの?浮気とかマジ許せないんだけど。」

エレンが困惑した様子でそう言う。浮気とかそういう問題なのだろうか。。

「お前それ飼い主にはきゅいきゅいとしか聞こえてないぞ。それに浮気って言うのか?この場合。」

「浮気だろ十分。浮気すぎて超浮気だよ。私たちは飼い主一筋なのにさー、ちょっとひどくない?」

「ごめん二人とも、きゅいきゅいとしか聞こえないから人型になってもらってもいい?」

飼い主は、かごの中から取り出したらしき丸い物体を両手でなでながらそう言う。飼い主の手に隠れて、丸い物体の見た目がよくわからない。

「まったく、仕方がないなー。」

エレンがそう言って人型に変身した。

「僕も一応人型になったほうがいいのかな、」

そう言って僕も一応人型になった。

「あのね二人とも、改めて紹介するけど、この子の名前はメル。鳥型の召喚獣なんだ。」

「あー、うまそう。」

エレンがじゅるりとよだれを垂らしてそういった。

その発言に、まるっこい白い小鳥が―――メルが怖がるように飼い主に縋り付いている。

「おまえ、うさぎだよね?草食だよね?」

「人型になれば、焼き鳥として食える。」

「お前の発想こわいわ。」

「えへへっ」

エレンがまあね、といった様子で照れている。

ほめてないんだけれども。

まあいっか。

「ていうか飼い主さんそんなに冷めた瞳でこちらを見つめないでくれます?エレンがこんなので野性味があふれていて、ふわふわしたおとなしい性格じゃないのなんてわかりきったことだったじゃないですか。」

「あ、うん。そうなんだけど、普段二人がこんな感じでしゃべってたことに少し驚いてるよ。いつもきゅいきゅいとしかこっちには聞こえてないから、、、ちょっとどんな話してるのか怖くなってきたわ。」

「安心してください。飼い主に迷惑かけるような話はしてませんから。」

エレンがキリッとした表情でそう言った。

「あ、うん。」

飼い主がちょっと若干引き気味にそう答えた。そりゃそうなるわな、普段一緒に居る僕もちょっと引いたもん。

「ぴよっ。」

「あ?なんだ鳥?食われたいのか?」

「ぴよぉ、、、、、」

メルがうるうるした瞳でエレンを見つめる。

「くっ、、、あざとい、、、だがしかし!その攻撃は私には効かん!」

エレンがすごい形相でそう言ってメルに頬ずりしている。

「いや、めっちゃ効いてるじゃん。怖いくらい効いてるじゃん。」

「くぅ、、、可愛すぎるメルが悪い。。」

そう言ってメルに頬ずりし続けている。やばいなこいつ。

「うんうん、、みんなが仲良くしてくれて私は嬉しいよ。」

飼い主はどこか遠い目をしてこちらを眺めている。心なしか、少し目が潤んでいるような気がする。

「あの、飼い主さん。」

「ん?何?」

「これからずっとメルは一緒に居れるのでしょうか?」

「あー、今回メルはさ、私の召喚獣になったわけじゃなくて、友人が軽度の鳥アレルギーでさ。長くても2時間くらいしか鳥と同じ空間にいることができないんだよね。だから、ちょっと授業で使うとき以外はうちで預かっている感じなんだ。」

「と、いうことは、その飼い主の友人が授業で使うときのみメルは私たちと離れ離れになるんですね?」

「うん、ちょっと悲劇的な感じに表現されているけど大体そんな感じ。」

「なるほど。」

「ずっとメルと一緒に居たい。。」

エレンがメルをぎゅっとにぎりしめてすーはーすーはー、とメルの匂いを嗅いでいる。

少し気持ちが悪い、、、、。

まさかエレンが世でいう変態さんという属性だったとは、、、意外だ。

「ねえ今お前さ、私について失礼なこと考えなかった?」

「考えてないよ?」

あぶねー、こいつ意外と鋭いんだよね。

「なんだろう、クズの本能がお前が失礼なこと考えてるって訴えてきたんだけどなー、気のせいだったのかな?」

「クズの本能ってなんだよ、どんな本能だよ、聞いたことないわ。」

「えへへ、、、、」

なんでこいつさっきから褒められたと勘違いしてるんだろう。ほめてないんだけれども。

こいつの照れるつぼがわからないわ。

「あー、メル。。すきふぁわ、、、」

「お前メルにくっつきすぎて滑舌ちょっと悪くなってるぞ。口元にメルをくっつけすぎて。メル超怖がってるからやめてやれよ。」

「えー、これは喜んでるんだよ。」

めっちゃ勘違いされててメル可哀想。

本当にいつかエレンに食われそうな気がしてならないわ。

可哀想に、、。

「みんな本当に仲がいいねえ。」

飼い主がそう言って、ココアを飲みながら僕の頭を撫でた。

「あの、人型の時に撫でても気持ちよくないと思うんでうさぎの姿になったほうがいいですかね?」

「うん?このままでもいいけど。」

そう言って飼い主さんは、僕の頭を撫でた。

うえい。ちょっとうれしいかもしれない。

飼い主さんちょっと美人なんだよね。

あー、至福の時間だわ。超幸せ。もっと撫でてほしいわ。

「ちょおい、何お前ひとりで飼い主さんの手独占してるの、許せないんだけど。」

エレンがそう言って、飼い主さんの手をつかみ、僕の頭の上からエレンの頭の上へと移動させる。

「撫でろ!」

エレンがちょっと偉そうにそう言った。

「えぇ、、?良いけど?」

ちょっと困惑気味に飼い主さんがエレンの頭を撫でる。

「ちょおい!飼い主さん!こっちを撫でてよ、浮気はだめだよ!」

僕はエレンの真似をして浮気よわばりしてみる。

「え、あ、うん。」

飼い主さんは空いていたもう片方の手で僕の頭を撫でた。

よっしゃあ。

そこへメルがぴよぴよと歩いてきて、飼い主さんの太ももの上に乗る。

「おい、おまえ、、、、」

先ほどまでメルにメロメロだったエレンが低い声でメルに向けてそうつぶやく。

「あの、飼い主さん、メルって雌ですか雄ですか?」

僕は聞いた。

決めたのだ。雄だった場合始末してしまおう、と。

「え、あ、えっと雌だよ。」

あ、そうなのか。なら、、、良くないわ。

雌でも悪いことは悪い、そうだよ。始末しよう。

我らが飼い主さんの神聖な場所、太ももに乗っかったのだから。

これは始末しなければならない案件だ。とても重要な案件だ。

「ねえ、今怖いこと考えてるよね?」

飼い主さんがそう言って、僕の顔を覗き込んだ。

「大丈夫です。エレン、この鳥、焼き鳥にしようか。」

「えっ!まじ?食おう食おう!」

「やめて、、!私が友達に怒られちゃうから、二人ともやめて!冗談だよね!?」

飼い主さんが必死でメルを食おうとする僕たちを止める。

「あははっ、冗談じゃないよ。乙女で美人な飼い主さんを汚した罪は重い、、、」

そう言って僕は何もない空間から包丁を取り出し、メルを殺そうとする。

「や、やめて!!まじで!ほめてくれてうれしいけどさ!みんな仲良くしてよね!」

大きな声で飼い主さんが言って、クッキーを僕とエレンの口に突っ込んだ。

もっていたんだ、クッキー。

もごもご、と二人でクッキーを食べ終えると、エレンは飼い主さんに向けて手を差し出した。

どうやら図々しいことにもっと食わせろ、ということならしい。

「はい、どうぞ。」

エレンにもう一枚クッキーを渡した。

僕も欲しいな、と思い、手を差し出すと、メルの翼と握手(?)させられた。

「喧嘩する子にクッキーはあげないよ。仲直りしたら、クッキーあげる。」

飼い主さんがそう言った。

「くっ、悔しいがその策は有効だ、、、。」

悔しい、、そう思いつつ、おとなしくメルと握手して、

「、、食おうとしてごめんな、メル。」

僕はそう謝った。

「ぴよ、、、」

もう食べようとしないでね、といった様子でメルがそう鳴き、握手してくれた。

「よし、二人とも仲直りしたね。良かった。」

これにて一件落着、といった感じで飼い主さんがほっとした表情でマグカップに入ったホットココアをすすった。

「はー、今日も平和だねえ、、。」

飼い主さんはそうつぶやいた。

「ぴよ、、?」

平和なのか?といった感じでメルが何か言いたげに鳴いたのであった。

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もふっとコンビ!? 藍無 @270

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