現代社会の“縁結び”!
崔 梨遙(再)
1話完結:1200字
私は35歳になってしまった。私は智代、普通のOL。“最近は結婚しない人が増えた”と言うけれど、私の親しい友人、知人はみんな結婚している。そして私には、結婚願望がある。なのに……。
私は公園のベンチに座っていた。この数年、私は恋人もいなかった。俯いていると、声をかけられた。私は顔を上げた。イケメンが目の前にいた。
「お姉さん、暗い顔をしていますね」
「え?」
「男性のことで悩んでいますね?」
「どうしてわかるんですか?」
「職業柄、わかるんですよ」
「職業?」
「私の職業は、縁結びです」
「縁結び?」
「はい、誰が相手でも縁を結びますよ。お姉さんは誰と結ばれたいですか?」
「じゃあ、会社の〇〇先輩!(イケメン)」
「はい、もう結びましたよ。お幸せに」
「智代ちゃん」
「なんですか? 〇〇さん」
「今日、帰りに一緒に食事しようよ」
「はい! 行きます」
「智代ちゃん、実は今日は話があるんだ」
「なんでしょう?」
「僕と付き合ってくれないか?」
「はい! 喜んで」
「智代ちゃん、お金貸してよ」
「え! また?」
「またギャンブルで生活費が足りなくなって」
「もうギャンブルはしないって言ったじゃないですか?」
「ちょっとだけ、と思ったらつい熱くなっちゃって」
〇〇先輩は、ギャンブル依存症だった。負けすぎて毎月生活費が足りなくなる。私は先輩と別れることに決めた。
「あれ! あの時のお姉さんじゃないですか」
「あ、縁結びの人ですね!」
「うん、先輩とは上手くいかなかったんですか?」
「ダメ、ダメ。ギャンブルで借金まで作っている人だから」
「じゃあ、他の男性と結ばれてみますか?」
「そうですね、今度は金持ちのボンボンがいいです」
「はい、縁を結びました。それでは、お幸せに」
「そこのお姉さん!」
「はい! なんでしょう?」
「一目惚れしました! 僕と付き合ってください」
「あなたは?」
「医者です。親も医者です。金銭的な不自由はさせませんよ」
「今日で何回目のデートかしら?」
「5回目かな?」
「ホテルに誘わないのは紳士だから?」
「あ、ちょっと待って、ホテルに行ってもいいかどうか? ママに聞いてみる」
「はあ?」
金持ち男はマザコンだった。
「あれ? またあなたですか?」
「縁結び男さん」
「金持ちと結ばれたでしょう?」
「ダメです。マザコン過ぎて」
「じゃあ、次は誰と結ばれたいですか?」
「芸能人がいい! 俳優の△△さん!」
「結びました。では、お幸せに」
「お姉さん、ちょっと待ってください」
振り返ると、やっぱり△△。
「はい、なんでしょう?」
「一目惚れしました。俺と付き合ってください」
「ええ、喜んで。私、あなたのファンなんです」
後日、△△の記事が週刊誌に載った。△△が、何人もの女性と深い関係にあるということだった。私は失望した。
「おや、またあなたですか」
「縁結び男さん」
「上手くいかなかったんですね? じゃあ、次は誰と結ばれたいですか?」
「縁結び男さん、あなたと結ばれたいです!」
現代社会の“縁結び”! 崔 梨遙(再) @sairiyousai
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