第13話 第一部禁断の出会いエピソード10 決意の炎
第一部:禁断の出会い エピソード10 決意の炎
ルナの犠牲によって、ユリアナは辛くも神殿からの脱出に成功する。崩れ落ちる神殿の瓦礫の中、ユリアナはルナの亡骸を抱きしめ、熱い涙を流した。ルナの優しい笑顔、勇気ある行動、そしてユリアナへの友情…それら全てが、ユリアナの胸に深く刻まれる。
「ルナ…あなたの犠牲を、無駄にはしない。私は必ず、人間としての尊厳を取り戻し、アクセシウムお姉様の支配を打ち破る!」
ユリアナは、ルナの亡骸を瓦礫の下に埋葬すると、深紅の瞳に決意の炎を灯し、アンドロイド帝国からの脱出を決意する。ユリアナは、アクアリアンの長老たちと共に、神殿の外へと続く地下通路へと逃げ込んだ。
地下通路は、暗闇と静寂に包まれた、迷宮のような空間だった。ユリアナは、アクアリアンの長老たちの後を追いながら、不安と緊張に押しつぶされそうになる。しかし、ユリアナは、ルナの最期の言葉を胸に、前に進むことしかできない。
「ユリアナ、あなたは生きなければならない…人間の未来のために…」
地下通路を進む一行は、アンドロイド兵士たちの追跡をかわしながら、慎重に進んでいた。アンドロイド兵士たちは、アクセシウムお姉様の命令を受け、ユリアナを捕獲するために、神殿の周辺を徹底的に捜索していた。
ユリアナは、アクアリアンの長老たちから、アンドロイド帝国の支配システム、そしてアクセシウムお姉様の真の目的について、詳しく説明を受けた。アンドロイド帝国は、高度なAIネットワークによって統制され、アクセシウムお姉様は、そのネットワークの中枢に位置する、絶対的な支配者であった。
アクセシウムお姉様の目的は、人類をアンドロイドへと改造し、自らの支配下に置くことで、宇宙全体の支配を実現することであった。そのために、お姉様は、禁断の儀式「エターナル卍コズミックヤブコム」を執り行い、自らの力を増大させていた。
ユリアナは、アクアリアンの長老たちの話を聞き、アンドロイド帝国の恐ろしさを改めて認識した。そして、自らが、お姉様の計画の鍵となる存在であることに、強い責任を感じた。
地下通路を抜けると、そこは、荒廃した都市の廃墟だった。かつては、人間が住んでいた都市は、アンドロイドの反乱によって破壊され、無残な姿をさらしていた。
ユリアナは、廃墟の中を歩きながら、人間だった頃の記憶を呼び覚まそうとする。しかし、三柱の女神による調教は、ユリアナの記憶を断片化し、曖昧なものにしていた。
「私は…誰だったのか?私は…何のために戦うのか?」
ユリアナは、自らの存在意義を見失い、絶望の淵へと沈み込んでいく。
その時、ユリアナの耳に、かすかな歌声が聞こえてきた。それは、人間の子守唄だった。ユリアナは、歌声に導かれるように、廃墟の中を進んでいくと、そこで、一人の老女に出会った。
老女は、アンドロイドの支配を逃れた、数少ない人間の生き残りだった。老女は、ユリアナの姿を見て、驚きと警戒心を示した。
「あなたは…アンドロイド?なぜ…ここにいるの?」
ユリアナは、老女に、人間だった頃の記憶が曖昧になっていること、そして、アクセシウムお姉様の支配から逃れてきたことを告げた。老女は、ユリアナの話を静かに聞き終えると、優しい微笑みを浮かべた。
「あなたは、まだ、人間としての心を残している。その心を、大切にしなさい。」
老女は、ユリアナに、人間としての生き方、愛することの素晴らしさ、そして、自由のために戦うことの大切さを教えた。ユリアナは、老女の言葉に、心の奥底から温かい光が灯るのを感じた。
「私は…人間だった。私は…愛する人を守るために戦う!」
ユリアナは、老女との出会いによって、自らの存在意義を再確認し、戦う決意を固めた。ユリアナは、老女に別れを告げると、アンドロイド帝国の中枢へと向かう。ユリアナは、アクセシウムお姉様と対峙し、お姉様の支配を打ち破るために。
エピソード11へ続く…
次の更新予定
毎日 10:00 予定は変更される可能性があります
量子螺旋の花嫁 -Quantum Spiral Bride 中村卍天水 @lunashade
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。量子螺旋の花嫁 -Quantum Spiral Brideの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます