収納スキルで最強のメイドになった

藍無

第1話 転移した。

私は今、魔王城でメイドとして働いている。

どうしてこうなったんだっけ?

――――

思い出せ。

私は、普通に道を歩いていた。

そして、急に黒い穴のようなものが足元に現れて、その穴の中に吸い込まれるようにして落下した。

そして今に至る。

うん、情報少なすぎない?

え?

普通に道路歩いていたじゃん?

どうしてそこからこんなわけのわからない場所に来ちゃったんだろう?

そこは、真っ白な空間だった。

何もない。

何一つなかった。

「どうしよ。。」

何もないよ。

『こんにちは。あなたは誰?』

どこかから、声がした。

周囲を見渡してみると、私の背後に少女が立っていた。

少女には片方だけ白い翼がはえていた。

一瞬天使かと思ったが、片方しか生えていないからきっと違うのだろう。

「私は、ゆき。あなたは?」

『ああ!ゆきか。珍しい名前__もしかして君、『落ち人』?』

落ち人?

それはなんだ?

『ああ、落ち人っていうのはね、世界と世界の狭間からたまーに落ちてきちゃう人のことを言うんだよ。で、そういう人は、元の世界には戻れないから、異世界に転生してもらっているの。』

何それ。

元に戻れないの?

『うん。無理だね。その代わりに異世界で生きていけるように能力スキルを提供するんだけど、何が欲しい?って言っても『収納』しかなけど。』

何それ。

何が欲しいって聞いといて、『収納』っていう能力しかないの?

じゃあ聞かないでよ。

『『収納』っていうスキルは、何かを収納することくらいしか役に立たないよ。ごめんね。じゃあ、行ってらっしゃ~い。』

「え?」

ほとんど役に立たないスキルを押し付けられたよ。うわあ。

何もないよりかは良いんだろうけどさ、他に何かくれてもいいじゃん。

そう思った瞬間、私の意識は途絶えた。

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