第3章 初体験

ゴールデンウィークが明けると、瑠華ちゃんは

美容師学校に5月6月と月火、7月はほぼ毎日、8月も月火と通わなければならない。


要するに、学生途中に結婚妊娠した訳で、妹は

予定外の展開で、当初は「堕ろせ」と言っていた。


そこで救いの手を求めて、私達夫婦に相談に来た。


私は即答した。


「堕したらダメだよ!産みなさい!」と….。


流産を2度も経験した私は、子供を失う怖さと、

もう二度と産めない身体になったら後悔しても仕切れないという思いで、瑠華ちゃん夫婦に訴えた。


私の旦那も同感で、産む事を賛同してくれた。


肝心な妹ばあばは、美容院を開業したい一心で、瑠華ちゃんの身体の事も蔑ろにして、理不尽な事を言っていた。


「姉ちゃんが一番賛成したんだで、責任持って

育ててよ!私は知らんでねぇ〜!無理やで!」


私は内心ムッとしていたが、やるしかない。

最悪養子にもらったるにな!

皆んなで協力して育てれば何とかなる!……


にも関わらず、妹ばあばは天使を見た途端、もうデレデレで、可愛くて仕方ないんだろな!


チャイルドシートからベビーカーも最高級のを買ってあげて、マタニティ写真やニューボーン写真を撮りまくり、人に見せびらかし、格好つけの見栄っ張りなんだ!


大変かと思ったが、案外RUKIはお利口さんで、

ミルクさえ与えれば、大人しく寝てくれる。


実家の母にも助けてもらいながら、皆んなで

お世話をする事になった。


もし、怠惰していたら、今頃此処にRUKIはいないのだ。


天使のようなRUKIはこの世に存在しなかったのだ。


これから赤ちゃんを授かり、大人の事情で迷っている人がいれば、思い留まって欲しい。

命の大切さを知って欲しい。


欲しくても出来ない人もいれば、私のように

流産する者もいる。


折角授かった命を大切にして欲しい。

心からそう願わずにはいられない。

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