第10話 新しい始まり
運命の神殿での激闘から数日が経過した。暴走していた運の流れは完全に修復され、世界は平穏を取り戻しつつあった。
街の人々は顔を上げ、運の調和が戻ったことで新たな希望を胸に抱き始めていた。以前のような不穏な空気は消え、人々の間には助け合いの精神が再び芽生えていた。
レオとセリーナは、運命の神殿の前に立ち尽くしていた。神殿の周囲に広がる景色は、澄んだ青空と新緑の木々に包まれ、まるで新しい世界の始まりを告げているかのようだった。
セリーナが静かに呟く。
「ここまで来られたのは、レオ、あなたのおかげだわ」
レオはセリーナの言葉に首を振りながら答える。
「 いや、俺一人じゃ無理だった。セリーナ、君がいたからここまで来られたんだ」
その時、神殿の中央から眩い光が現れ、運の神・ラティスが姿を現した。ラティスは穏やかな微笑みを浮かべ、二人を見つめる。
「レオ、セリーナ。あなたたちが運を正しい形に戻したことで、この世界は再び秩序を取り戻した。あなたたちは新たな『運の使い手』として祝福されるべき存在だ」
ラティスは二人に向けて手を差し伸べると、彼らの体が優しい光に包まれる。その光は、二人が貯めてきた運が新たな力として形を成したものだった。
「これからも運を正しく使い、人々を導いていく役目を担うことでしょう。しかし、忘れないでください。運は他者との繋がりの中でこそ生きるものだということを」
ラティスが消え去ると、二人は新しい旅立ちに向けて歩み始めた。
セリーナは自分の家族を失った悲しみを乗り越え、再び夢を描くことを決意する。
「私、運を失った人たちを助ける場所を作りたい。誰もが希望を持って生きられるように」
レオは彼女の言葉に深く頷く。
「それは素晴らしい夢だよ、セリーナ。俺も自分の村を作るという目標を進めていく。安心して生きられる場所を、みんなのために作りたいんだ」
互いの夢を語り合いながら、二人はそれぞれの道へと進んでいった。
セリーナは自分の理想を叶えるべく、新たな拠点を築き始めた。その場所は、運を失った人々が再び希望を取り戻すための温かな場所として、多くの人々に愛されるようになっていった。
街に戻ったレオは、運を貯めることの大切さを説く活動を始めた。
彼のもとには、多くの人々が訪れ、運を正しく使う方法や心のあり方について学んでいく。レオはその中で繰り返し言葉を発した。
「運は自分だけのために使うものじゃない。誰かを思いやり、助ける中で、本当の力を発揮するものなんだ」
レオの広場で演説では、集まった人々が彼の言葉を真剣に聞いていた。
「運は、お金や権力に換えるものじゃない。それは、人と人とを繋ぐ絆であり、未来への希望だ。運を正しく使うことができれば、奇跡は必ず起こる。そして、奇跡を起こせるのは特別な人間じゃない。誰もが、その力を持っているんだ」
レオの言葉が広場全体に響き渡り、人々の心に深く刻まれる。その光景を見つめながら、レオは穏やかに微笑む。
「運をお金に換えるな。その信念こそが、僕たちの未来を支える柱になるんだ」
運命の貯金術 まさか からだ @panndamann74
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