第6話 運の神の試練
夜明け前の静寂の中、レオとセリーナは険しい山道を進んでいた。彼らの目的地は、運の神・ラティスが現れるとされる聖なる泉だ。旅を続けるうちに互いの信頼が深まり、ゾルドに立ち向かう決意を新たにしていた。しかし、その前にラティスの試練を受けなければならない。
泉に到着すると、空気が一変した。穏やかな風が吹き、空から金色の光が降り注ぐ。そして、その光の中から美しい女性の姿をした神・ラティスが現れる。
「運は神聖な力。正しく使えば奇跡をもたらすが、欲望に溺れれば破滅を招く」とラティスは語り、レオとセリーナに試練を課すことを告げる。
最初の試練は、目の前に現れた小さな村で行われた。村の住民たちは争いを繰り返し、運を無駄にしている状態だった。ラティスは「この村を救う方法を示せ」と命じる。
レオは住民たちと話し合い、彼らの不安や恐れを理解しようと努めた。一方、セリーナは村の子どもたちを安心させるために遊びや食事を提供する。二人の無私の行動により、村の住民たちは次第に心を開き、争いをやめるようになる。ラティスは「他者を思いやる心が運を繋げる」と言い、第一の試練を合格とする。
次の試練では、レオとセリーナに選択が迫られる。目の前に現れたのは、深い谷底に落ちそうになっている見知らぬ男性。ラティスは「一人がこの男性を助けるために谷に飛び込む必要がある」と告げた。
セリーナは迷わず谷に飛び込もうとしたが、レオが彼女を止める。「二人で協力すれば他の方法があるはずだ」と考え、彼は自分の道具や力を駆使して男性を救出する方法を模索する。最終的に二人は協力し、誰も犠牲にならずに男性を助けることに成功する。ラティスは「運は他者と共に使うことで真価を発揮する」と称賛する。
最後の試練では、ラティスが二人に大金を渡し、「この運を使って目の前の町を救え」と命じた。その町では、ゾルドによる影響で多くの人々が不正な手段で運を交換しており、混乱が広がっていた。
レオはお金をすぐに使うのではなく、町の人々と対話し、問題の根本を理解しようとする。そして、お金を配る代わりに、自分の運を一部使って町の人々に希望を与える方法を選んだ。セリーナも協力し、再び町に信頼と連帯感を生み出す。結果的に、町はお金に頼らず自力で立ち直るきっかけを得る。
試練をすべて終えた二人に、ラティスは微笑みながら「あなたたちは運を正しく使う心を持っている」と告げる。そして、彼らに「奇跡の種」を与える。これは、どんな絶望的な状況でも希望を芽吹かせる力を持つものだった。
「この種を使えば、あなたたちの夢を実現する助けとなるでしょう。しかし、運を貯める努力を怠らないこと。それが運命を導く鍵です」とラティスは最後に伝え、光の中へと消えた。
ラティスの試練を通じて、二人は運の真の意味を学び、自分たちの夢への道筋を確信する。これからの旅にさらなる困難が待っていることを知りつつも、彼らは運命を信じて前進する覚悟を新たにした。
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