第2話

「おい、大丈夫か?」

何やら男の人の声が聞こえる気がする。


 私、有栖川水琴はたぶん死んだ。

 まだ朝だというのに今日の晩ごはんは何にしようかな、なんてことを考えてたらいつの間にか死んでた。バチが当たったのだろうか。昼ご飯についても考えるべきだったか。


「こんなとこで寝てんのか?」


 通勤のために駅のホームにいたのだか、勢いよく後ろからぶつかられた。2歩ほど前に出たとき運悪く足を捻ってしまい、ホームから線路へ転落。通過するはずの急行電車にもろにぶつかった。

 痛みも感じなかったということは即死だろう。アニメではああいう場面に走馬灯をみたり、スローモーションになったりするのが定番だか、そんなこともなく普通に死んだ。


 ペシッ…ペシッ…。…バチンッ!


 んんん?何やら頬を叩かれているような?

 死んでもこういう感覚ってあるんだな。でも電車に引かれたら顔面は顔面もぐちゃぐちゃなのでは…。


 ということはここは死後の世界というやつか。

 天国?もしかして地獄?

 平凡な人生、良い行いも特にはしてないが悪い行いもしていない。

 できれば天国がいいな。というか死後の世界ってほんとにあるんだな。

 何年ぐらいここにいるんだろう?そのうち生まれ変わったりとかするのかな?そしたらまた同じような平凡な人生を送りたい。


「おい!しっかりしろ!こんなところに寝てたら鳥の餌になるぞ!」


 先ほどと同じ声が上から聞こえてくる。

 そろそろ目をあけなければ…そう思いながらも意識が徐々に薄れていく。


 鳥の餌に生まれ変わるのは嫌だな。


「……しゃあねぇな」


そこでまた意識が途切れた。

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