山の精騎士〜ツチノコかと思ってたら何かやたらデカかった〜
コトプロス
第1話ツチノコなんよ
暑い夏の昼下がり、夏休みを最大限に有効活用しようと徹夜でゲームをしてぐーたらしていた俺は、スマホの着信音をモーニングコールに目覚める。
「誰だ……安眠を邪魔しやがって……」
『お前まだインしてないのか?早く来いよ。』
それだけ言って電話が切れる。
むう……ダルい……だが待たせるのも悪いからゲーム立ち上げるか。
俺はPCの電源を入れランチャーを立ち上げる。[精騎士物語オンライン]と書かれたタイトルロゴが踊って居る画面を選択してフーバースに降り立つ。
「やあやあ、すまんな。ぐうたらを満喫してた。」
俺は広場に先にいたそこそこの装備のプレイヤーに話しかける。コイツは俺の友人のカイト、こうやってゲームに誘ってくれる超良い奴さ!
「てめぇコウタ!お前が経験値足りないからやろうぜって誘って来たんだろ、言い出しっぺが遅刻すんなよな?」
ツンデレかな?まあ良いやさっさと行こう行こう。
フーバースの最初の街イットンを出て果獣の森に移動、カイトが呼び出しを行いドラゴンを呼び出す。
「きゅっきゅーい!」
ギリギリ人が乗れるサイズの小型の一般的なドラゴンで4本の手足に背中に羽根が生えてそこそこのスピードで空を飛べるイカしたナイスガイだ。
「おー、キュイキュイ鳴いてて相変わらずカッコ可愛いな!リンは」
「だろー!今日もクラフターが販売してる高級オイルでウロコをピカピカに磨いて来たんだよな〜リン!女の子は身だしなみに気をつけなきゃな!!」
俺は(それにくらべて………)とげんなりしたのを隠そうともせずに呼び出しを行う。
ドスン!とにぶい音がして足元に丸太が転がる。丸太というか中身までみっちり詰まったバナナボートかな?
手足は無く、寸胴で太く短いヘビがのっそりと顔を上げ、俺の顔をチラリと見るとまた丸太の様に転がった。
「ブハハハハハ!モンスターのレアリティとしては高いんだから喜べよ!!まあ、レベル上げして進化にワンチャンかけたくなる気持ちも分かるがな。やる気なさ過ぎだろ」
このゲーム「精騎士オンライン」は精騎士となり世界を旅するRPGだ。よくゲームの上級ジョブに聖騎士とかあるが漢字が違う。よく見てくれ、精霊とか妖精の精に騎士で精騎士なんだよね
英語で言うと、テンプルナイトじゃなくてフェアリーナイトな感じよ。
「おーい、ノコさんや。狩場についたからやる気を出してくれませんかね!」
のっそりと顔を上げると俺のバッグに顔を突っ込むノコ。てめぇ!またやりやがったな!
「インベントリからまた回復薬くすねやがったな?!!クソッ!このゲームイカれてやがる!!!!」
このゲームのプレイヤーは全員精騎士としてこの世界フーバースに降り立つ。最初に自分の分身のアバターを作って、その後に神殿っぽい所でこの世界の神様の祝福を授かる……って言う演出の単発ガチャを回して出て来た相棒と共に旅立つんだ。
が!この精霊ガチャはゲーム開始時のこの1回しか回せなくて2体目3体目の精霊を迎えたり逆に精霊との契約を破棄する事も出来ないクソゲー仕様となっていて、この1回にこのゲームが楽しめるかどうかがかかっていると言っても過言じゃないんだよな。
そりゃね?最初は「ツチノコだ!!」って喜んださ!でもコイツに騎乗しても陸でバナナボートに乗ってるみたいで絵面がマヌケだし歩くのと大差ないスピードでしか移動出来ないしハズレな気がしてるんだよ。
で、だ!ここで進化でワンチャン凄い個体になる可能性に掛けてレベリングしてるんだが一向にその気配が無いんだよな。
「おい、果獣リンゴンが来たぞ」
カイトが指した方からバレーボールサイズのリンゴにトカゲの手足と頭が生えた奇妙なモンスターが現れる。俺はサッと捕まえ暴れられると困るから手足を素早く引きちぎってノコの目の前に差し出す。
さっきまでのっそりノソノソとしていたノコが目を輝かせてリンゴンにかぶりつく!う〜ん、俺の手からエサを食ってくれる。こういう所は癒やされるよなぁ。
この満足そうな顔!これで良いんだよコレで!ほ〜ら2匹目のリンゴンだよ〜足は取ってるから安心していっぱい食べな〜そして早くデカくなるんだぞ〜
「いやいくらゲーム内だからって動物の手足を笑顔で引きちぎるお前もなかなかイカれてんぞ?」
ふと横を見るとリンとカイトがリンゴンを挟み打ちにする形で連携して倒していた。????食い物を必要以上に痛めつけるなよな、もっはたいない。
ゲームだからかリンのツメで切り裂かれてリンゴンが消えるとそこにアップルキャンディが落ちてそれをカイトが拾う。
「おっ!居たぜ!皆さん!珍しいツチノコの精騎士を発見しました!!この配信騎士のヨースケがこのツチノコとその精騎士がどんなもんか確かめたいと〜〜〜思います!!!!」
やかましい男が現れて、その男の横に居た小悪魔の様な精霊がいきなり火球を飛ばして来た!!!
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