軽便鉄道標準プラットホームにて


 雪梅さんが、

「やれやれ、やっと終着にたどり着いた……」


 簡易プラットホームと同様に駅長室で人工知能を起動、あとは同じです。

 ただ標準プラットホームの格納庫エリアにはボックスが収納されていました。


 これを使ってカレワラ・オフィスのキュッリッキさんが転移してきました。


 キュッリッキさんが、

「37番三級ポイントモニターの件、聞いたわよ、大変だったわね」


 雪梅さんが、

「いささか慌てましたよ、どうすればいいかガブリエル様に直接お聞きしたら、マレーネ様から直接返事が来て、冷汗がでました」


 キュッリッキさんが、

「わかるわ、マレーネ様からなんて、私だったら卒倒するかもね」


「もうすぐロウヒとアイノも来るわ、ホルト1に仕事を押し付けてね♪」

「その前に標準プラットホームのメイドロボットにあと三人、宿泊するって伝えてね♪」


「えっ、皆で泊まるのですか?」と雪梅さん。

「そうよ♪祝勝会よ♪」とキュッリッキさん。


 なのでリビングで後の二人を待つ間、とりとめのない会話を楽しんでいます。

 おしゃべりのお供も当然お菓子♪♪


 実はミリタリー補給カタログには非常食も掲載されているのです。

 お菓子というのは砂糖コーティングされた粒状チョコレート♪

 もともと軍用チョコレートですからね、糖分補給にはうってつけというわけです。


 某社に特許使用料などを払って、大量生産されていますのでミリタリー補給カタログにも掲載されたのですね。


 キュッリッキさんが、

「この間ね、戦闘糧食の件で盛り上がったでしょう?でね、ホルト1にめぼしいものはないかと聞いたのよね♪」

「ほかにもいくつかあったのよ♪あとで教えてあげるわ♪」


「さすがにお酒はないですよね」と雪梅さん。


 キュッリッキさんが、

「と思うでしょう、それが極めてお安く何とかなるのよね♪」

「えっ、本当に!」と雪梅さん。


 キュッリッキさんが、

「粉末酒というのがあるらしいのよ、でね本来は風味付けのもので通販カタログに極めてお安く売っているのよ♪」

「うまく戻せばそれなりのお酒になるそうよ♪」

「ホルト1が知恵を貸してくれたのよ♪」

「私たちのチケットでも十分飲めるわ♪♪」


 どうやら、うまく戻すとそれなりのアルコール飲料になるそうです。


「ラム、ブランデー、赤ワイン、白ワインの四種は合格点よ♪清酒は苦みが出るそうよ」

「とりあえず、チョコレートのお供はブランデーよね♪」

 

 キュッリッキさんが内緒の粉末酒の戻し方でブランデーをね。


「本当だ!これなら十分!」と雪梅さん。


 内緒のブランデーをチビチビ飲んでいると、ロウヒさんとアイノさんがやってきました。


「おや、さっそくやっているね♪」とロウヒさん。


 四人は例の戦闘糧食で夕食、そしてラム、ブランデー、赤ワイン、白ワインで晩酌と洒落込んでいます。


 粉末酒は1キロ単位で代金は10円程度……

 物資補給部が特許の使用権を買い取り、さらに廉価に大量生産できるように手を入れたといわれています。

 そのためか、ネットワークのカタログでしか購入できないとか……


 キュッリッキさんがブランデーを出したので、残りの三人で残りの三種。


「ドンドン行こう♪」とアイノさん。


 飲めや歌えの大宴会!


 信じられないことにヘベレケに酔った状態でお風呂にドボン……

 

 静かになったので汎用メイドロボットが見に来ると、四人とも湯船の底に……

 まあ、四人とも『格子』ですから、湯船の底で寝ていたのですけどね、汎用メイドロボットには、危うく溺死しそうに『見えた』訳です。


 当然、ガブリエルさんの知るところとなり、目から火が出るほど怒られた四人でした。


 話を聞いたイシスさんに、ガブリエルさんどころかアマテラスさんまで嫌味をいわれたようです。

 さらに話を聞いた物資補給部が粉末酒の代金を値上げ、1キロ単位50円としたようです。


 このプラネテスの不始末、ハウスキーパー事務局内で降格の話が出ましたが、ヴィーナスさんが、

「ティアマト軽便鉄道線も無事に通ったことですし、問題点も指摘してくれたのです、その功績と相殺ということで不問にしましょう」

 と云ってくれたのです。


 ちなみに雪梅さんが指摘したいくつかの問題点は、標準プラットホームと簡易プラットホームにボックスを収納するようになったのです。

 その分、緊急用のベッドが十床減ったようです。


「今回の不祥事は不問とするが、四人には標準プラットホームと簡易プラットホームの改修を命じる」

 まだまだお怒りのガブリエルさんに命じられていました。


 FIN

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