コスモスの女たち1 未開発世界の監視官
ミスター愛妻
第一章 ガウダの物語 サバトの果てに
困惑
惑星ロマーニャの二つの女子騎兵隊、サルマタイ婦人騎兵隊とヌミディア女騎兵隊は仲が悪い。
なにかといがみ合う二つの騎兵隊は今日も乱闘寸前。
二つの騎兵隊のケントゥリオ、ガウダとアキリアは頭を抱えていた。
何とか今回はウェヌスさん、つまりヴィーナスさんがうまく収めたようですが……
* * * * *
ウェヌスの巫女の警護係……ウェヌス・エリュキナ神殿警護隊が正式名称で、いわずと知れた女神ウェヌスの親衛護衛部隊。
惑星ロマーニャにおける婦人戦闘団、アウグスタ婦人兵団の中でも最精鋭部隊である。
ケントゥリアと呼ばれる歩兵四個小隊と、騎兵一個小隊からなるコホルスと呼ばれる大隊程度の規模、約三百名弱のグラディアトリクス――女剣闘士――の集団である。
ローマ・レムリア帝国のコホルスに比べると小型の編成となっていますが騎兵が編成に入っています。
第五ケントゥリアは五十名編成、ケントゥリオ――百人隊長――とオプティオ――百人副長――を指揮官にデクリオと呼ばれる十騎よりなる騎兵分隊五隊で編成されている。
第一デクリオがケントゥリオの直率、第五デクリオがオプティオの直率、第二から第四のデクリオ指揮官とケントゥリオ、オプティオの五名がこの騎兵隊の幹部となる。
――この辺りは本来のローマ帝国の編成を多少アレンジしてある、本来、ローマ帝国の騎兵隊はデクリオ三隊でトゥルマと呼ばれる騎兵小隊となり、トゥルマ十隊でアラと呼ばれる騎兵中隊、約三百名規模となる、ウィキペディアアウクシリアの項を参照、By作者――
献上品を出せる地域にはウェヌス教団の教区がおかれ、二個歩兵小隊とで編成されたマニプルス――中隊――が編成されており、アンティオケイア教会とキュレネ教会には騎兵隊が追加されている。
ウェヌス・エリュキナ神殿警護隊の第五ケントゥリアの騎兵は、シリア属州にあるアンティオケイア教会所属のサルマタイ婦人騎兵隊と、アフリカ属州にあるキュレネ教会所属のヌミディア女騎兵隊が交互に派遣されてくる。
両隊ともデクリオ五隊で編成されている。
ラフロイグ戦争に参戦したウェヌス・エリュキナ神殿警護隊は勇戦、ネットワーク世界に知られるようになった。
『ウェヌスの侍女 寝室係兼警護 福者 ヌミディア女騎兵隊隊長』ガウダは、北イタリアのモンティチェッリ温泉、ウェヌス・エリュキナ神殿が管理する聖地で途方に暮れていた。
隣には『ウェヌスの侍女、寝室係警護、福者 サルマタイ婦人騎兵隊長』アキリアも困り果てた表情で立ち尽くしている。
側女待遇格子のチョーカーを持つ2人は、あまり仲がよいとはいえないのであるが、今回ばかりは協力しなくてはならない出来事が起ったのだ。
前夜、サバトが行われた。
女神ウェヌスと契りを結ぶ約束が果たされた結果、百名近くの散茶端女(さんちゃはしため)が誕生したのは喜ばしいのではあるが、この新任の散茶端女(さんちゃはしため)が乱闘を始めたのだ。
ヌミディア女騎兵隊の散茶端女(さんちゃはしため)が、
「ウェヌス様はやはり私たち、ヌミディア女騎兵隊のご奉仕がお気に召されたようね♪」
といったのが原因。
これに激怒したのがサルマタイ婦人騎兵隊の女達、
「カエキリア・メテッラ・マイオル様――ウェヌスさんの事――は、私たちと契りを結ぶ約束をされたのよ!ヌミディア女は便乗しただけじゃないの!私たちをお気に召されているの!」
「なに!」
「なんだ!」
で、乱闘騒ぎです。
「どうしたの?騒々しい」
まずいことにウェヌスが聞きつけてしまった。
疲れた顔をしているウェヌスに、申し訳なさそうな2人は、
「その……どちらがウェヌス様のお気に召されているかで口論となりまして……」
「口論なんて可愛い物じゃなさそうよ、そろそろ刃物を抜きそうよ、早く止めなさい!」
……
「わかったわ、止められそうもないのね、私に任せなさい!」
雷鳴とともに、一筋の稲妻がモンティチェッリ温泉に突き刺さりました。
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