あなたに呪いをかけてみます。きっと。
ホラー小説や、怪談や、ネットの洒落怖などには時たま、「これを読んだあなたにも呪いが降りかかります」というオチが用意されていることがあります。
ひとつ上のレイヤーで呑気にページを手繰る読者に話題の矛先を向けることで、世界の隔たりを曖昧にし、読者の身の回りの空気にじっとりとしたエンチャントを施すことができる手法です。
しかし、純真無垢な瞳で世界を見つめていた幼少期の頃ならいざ知らず、現実の酸いも甘いも噛み分けてしまい、すっかり瞳の濁ったあなたはもはや、こんな脅し文句を見ても「んなワケあるかい」と平気でいることでしょう。
どれだけ巧みな構成でそれが配置されていたとしても、あるいはあなたが日常生活に支障をきたすほど想像力が豊かな人だったとしても、数日ほどシャワー中に背後を意識したりする程度だと思われます。
一週間もすれば恐怖はもはや感想へと化し、「あのギミックはなかなか面白かったなぁ」とむしろ満足するに違いありません。
そしてあなたは自身が今日も平穏無事に日常を過ごしていることを認識し、こう思うのです。
「やっぱり呪いなんてものは存在しないのだ」と。
ですが、この結論はいささか早計なのではと思うのです。
呪いの文書を読んでも五体満足かつ無病息災でいられることと、呪いの非実在にはなんの関係もありません。
私は呪いというものは存在すると思っていますし、今からあなたに向けて実践しようと企んでいます。
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