タタはずっとどきどきとしていた。

 生きている人間の女の子から目が離せなかった。

 なんだかとても不思議な感じがした。

 この女の子は、『生きている』。

 ……、生きているってどいうことなんだろう?

 つんつんとぽっぺたをつつきながら、タタは思った。

「……、うーん」と生きている人間の女の子が小さな声で言った。どうやら生きている人間の女の子は目を覚まそうとしているみたいだった。

 タタは生きている人間の女の子の声を聞いてびくっとすると素早い動きで駆け出して、背もたれのある豪華な衣装の椅子の後ろに姿を隠すようにした。

「……、お母さん、どこ?」

 とそんなとっても可愛らしい声が聞こえた。

 タタは背もたれのある豪華な衣装の椅子の後ろから顔を半分くらいだけ出して、生きている人間の女の子の様子を見ている。

 やがて生きている人間の女の子が目を開ける。そして豪華な衣装の長椅子の上で、「うーん」と言いながらむっくりと上半身だけを起こすと、「ふぁー」と大きなあくびをして、目を覚ました。

 生きている人間の女の子は、ここはどこだろう? と言ったような顔をして、きょろきょろとしている。

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