第4話:葡萄月の16日に来た手紙への返事

 この手紙は対象A(自称トゥードル・ゲンジー)がクレメリア革命暦648年10月4日(葡萄月グレーペスの16日)に送った手紙に対してベーデン・モンバドゥール氏が送った返事である。


 お手紙ありがとうございます。トゥードルから質問がくるとは嬉しいことです。私は市民大学で教鞭をとるものとして、あなたの疑問に対して真摯に答えなくてはいけません。さて、君の質問ではおつかいの帰り道の時に見た剣を携えた男と、杖と多くの巻物を持ち運んでいた女性の正体が何かということに興味を持たれたそうですね。これは私にとっても驚きでした。

 この世界には、冒険者というものがいるのです。ここ、クレメリアの世界にはまだまだ未知の存在や、人を襲う怪物などの脅威が待ち構えているのです。冒険者は、それらの危険に挑む挑戦者なのですよ。トゥードルの世界に冒険者がいないという事ならば、人々を襲う脅威がないという平和な世界である反面、未知というものがない発展しつくした世界なのかもしれませんね。

 どちらの世界がいいかはさておき、彼らは未知への挑戦を持って日々の生活をしているのです。未知へ挑むということは恐ろしいことです。すぐそこの森ですら、我々にとっては脅威なのです。山賊が襲って来るならまだかわいい方で、緑肌の怪物グリーンスキンが人を攫って食う様な事が毎晩どこかで起こっています。また、この世界を滅ぼすような魔法や古代兵器が今もなお地下深くで眠っているといいます。そのような世界への挑戦者が彼ら、冒険者なのです。なので、すれ違った彼らは、勇敢で敬意を払うに値する人物だったのでしょう。

 そうそう、わたしからも質問があります。トゥードルが彼ら冒険者を見て「コスプレイヤー」のようには見えなかったと言っていましたが、コスプレイヤーとは何のことでしょうか?あとで教えて頂けると幸いです。

 ベーデン・モンバドゥール

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