◆咖喱の間◆

◆咖喱の間◆


【描写】

 扉を開けると、そこは飲食店のような場所でした。

 カウンターが一つと客席が四つ設置されているだけで、あまり広い場所ではないようです。

 カウンターにはタキシード姿の紳士が一人いるだけで、他に人影はありません。


 探索者達が部屋に入ると、紳士が話しかけてきます。


紳士「ようこそ、忍耐の試練の場へ。この世界から脱出するために必要な鍵の一つである忍耐の鍵は私が保有しています。勿論、これをお渡しするためには皆様の忍耐を見せて頂かなくてはなりません。当店はカレー屋です。皆様には当店のスペシャルメニューである激辛カレーメニューの中でも最高峰の『魂が飛び出る辛さのカレー』に挑んで頂きます。ただし、ただカレーを完食すれば良いと言うだけの話ではありません。勝者はただ一人です。他にも鍵を狙うライバルはいますので、皆様にはライバルの三人と競って頂きます。なお、敗北しても何度でも挑戦は受け付けます……もっとも、私の『魂が飛び出る辛さのカレー』は何杯も食べられるほど甘くはないですけどね、なんたって辛さが売りのカレーですから!」


 ここでは紳士の挑戦を受けることになります。紳士からルール説明を聞いた上で挑戦してください。


【ルール説明】

 スコヴィル・ファイトと呼ばれる特殊ルールの戦闘を採用しています。

 まず、参加者には1D1000を振ってもらい、その数値がSHU値と呼ばれる値としてステータスに刻まれます。

 扱いは正気度/SAN値と似たような扱いです。

 辛いものを食べ続けるとスコヴィル値/SHU値が減っていきます。

 SHU値が0になると、「全身の穴という穴から汗を吹き出し、意識が朦朧とする。口の中がヒリヒリとして、最早味など分からない。口からボワッと火を吐いたかと思うと、そこで意識はプツンと切れた」などという描写後に強制気絶となります。なお、耐えたい場合は六版ではCON×1、七版ではCONの1/5でロールして成功する必要があります。成功した場合はSHU値を1まで回復させてください。

 気絶は<精神分析>を振らなくても数分後に回復しますが、回復して目を覚ますと同時に確定で恐怖症【カレーへの恐怖】を発症します。この恐怖症はいかなる方法でも克服はできません。

 恐怖症【カレーへの恐怖】を持つ探索者はカレーを見た場合、毎回<正気度ロール:1/1D6>が発生します。


※SHU値は一定時間の休息、牛乳(1D50)やドリンクヨーグルト(1D80)を飲むと回復します。また、辛いものを食べている状態で水を飲むと更に減少する(1D3のダメージ)という仕様がありますが、※内のルールについては共有しないようにしてください。


 行動はDEX順で行われます。※チームで参加する場合はもっとも速いDEXが採用され、同じタイミングで全員行動できます。この※内のルールもゲーム開始まで共有しないでください。

 探索者は毎ターン指定通りの量を食べる『食べる』、一ターンに二回行動可能なもののSHU値に追加で二回の判定の平均値の0.5倍のダメージを受ける『早食い』、二倍の量を食べられるものの二回分のSHU値ダメージに加えて追加で出目の0.5倍のダメージを受ける『大食い』、『牛乳』か『ヨーグルト』か『水』のいずれかを飲む『ドリンク』、食事系の行動をしない代わりに他のプレイヤーに妨害を仕掛ける『妨害』のいずれかの選択肢を選ぶことができます。

 妨害の場合は『キャロライナ・リーパーの粉末』をライバル一人のカレーに入れることが可能で、SHU値へのダメージを+1D30追加することができます。


・『⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 魂が飛び出る辛さのカレー』

 五段階中まさかの十評価。

 毎ターン1D100のダメージで10ターン掛かる。つまり、『食べる』換算で十回分の量となっている。


【対戦相手】

 以下の三人のメンバーで固定されています。


喰霊羅かれいら威守乃介いすのすけ

 鶏の見た目でもなければ、華麗羅・椅子乃介でもない。

 イスの大いなる種族が憑依した青年。カプサイシン(というより、辛いものを食べる時に生じるβ-エンドルフィンというホルモン)に脳を焼かれ、ひたすら辛いものを追いかけている多分全世界でもっとも阿呆なイス人。

 身体は悲鳴をあげているけど、ただひたすらに辛いものを食べ続ける。

 淡々とカレーを食べるタイプで、『早食い』や『大食い』を使わない。また、妨害戦法も取らないためもっともシンプルな立ち回りをする。

 ……かと思いきや、刺激が足りないと思うと自分のカレーライスに『キャロライナ・リーパーの粉末』を入れたりする。なんなんだよ、こいつ。具体的には三ターンに一回の割合でセルフでダメージを追加する。

 牛乳やヨーグルトは飲まないが、水は飲む。特殊能力として、水によるダメージは発生せず1D10のSHU値を回復する。

 SHU値は500固定。人間体のため正気度ロールはなし。DEXは六版が10、七版が50、CONは六版が12、七版が60で判定します。


「それでは、選手紹介を行います! まずはイースからお越しの喰霊羅=威守乃介様!」


・ヘレ=カツ

 豚人間の大男。宗教上の理由からトンカツのカツカレーや豚肉を使ったカレーは食べられないらしい。

 『魂が飛び出る辛さのカレー』が牛肉を使ったカレーだと聞いて嬉々として参戦した辛いものジャンキー。

 常時『早食い』か『大食い』を利用し、『早食い』を使う場合は妨害工作を行う。妨害工作の対象は単体で二人以上に仕掛けることはできない。一つの妨害工作が成功すれば、再び妨害工作をすることができる。

 妨害は【門の創造】を利用した時間差で発動する飲み物を入れ替える魔法で、ランダムに指定したライバルが牛乳やヨーグルトを飲む場合に、牛乳とヨーグルトを水と入れ替えることができる。飲む必要がない場合はそのまま放置することも可能だが、牛乳やヨーグルトを飲みたい場合は一ターンを消費して注文する必要があり、そのターンは他の行動が取れなくなる。

 また、タイミングが完璧なため牛乳やヨーグルトを飲む宣言をしている場合は確実に水を飲まされてしまう。

 飲み物を妨害手段に用いるためか、水や牛乳やヨーグルトは飲まない。

 SHU値は550固定。遭遇時、<正気度ロール:0/1>。DEXは六版が10、七版が50、CONは六版が13、七版が65で判定します。


「続いて、オークの森からお越しのヘレ=カツ様!」


・クロヤギ

 シュブ=ニグラスの眷属である黒き仔山羊の一体。沢山食べることができると聞いてやってきた。

 スコヴィル・ファイトではもっとも狡猾なNPC。常時二回行動で、うち一回は確定で妨害行動を行う。

 触手を伸ばして『キャロライナ・リーパーの粉末』をライバル一人のカレーに入れる『辛さマシマシ』、相手の飲み物を根刮ぎ触手で掴んで奪い取る『飲み物泥棒』の二つの妨害手段を取り、徹底的にライバルを妨害してくる。

 『飲み物泥棒』は飲み物を飲む必要がない場合はそのまま放置することも可能だが、牛乳やヨーグルトを飲みたい場合は一ターンを消費して注文する必要があり、そのターンは他の行動が取れなくなる。

 『辛さマシマシ』もダメージ量を確定で増やして来るため極めて厄介。

 慎重な性格で、SHU値が300を下回ると1D80回復できるヨーグルトや1D100回復できる『ドリームランドの野菜とミ=ゴのシーザーサラダ』を飲食してSHU値を最大値まで回復させようとする『ヒーリングタイム』に移行するため、なるべく動けないタイミングにリードを作りたい。

 SHU値は700固定。遭遇時、<正気度ロール:1D3/1D20>。DEXは六版、七版共に80、CONは六版、七版共に80で判定します。


「最後は、ゴーツウッドからお越しのクロヤギ様!」


※このクロヤギも探索者達とは異なる時空(ゼノバース/未知宇宙の集合に属する宇宙)から来た存在です。そのため、仮にシュブ=ニグラスと遭遇した場合でも特に反応は示しません。


【敗北時の描写】


紳士「残念ながら敗北です。ですが、まだまだ挑戦は受け付けておりますので、是非是非ご参加を!」


【勝利後の描写】


紳士「カンカンカンカン! そこまでです! スコヴィル・ファイト! 終了です! 優勝した探索者には商品の『忍耐の鍵』が贈られます。それでは、またどこかでお会いしましょう!」


 紳士は探索者達に『忍耐の鍵』を手渡した後、店の奥へと消えていきます。


【その後の行動】

 この部屋でのやるべきことは終わっているので中央の間に戻りましょう。

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