九蹴 最も熱い場所
「ウンコじゃあああああああああああああ。ウンコを漏らしたんじゃああああああああああああああああああ」
サクマヒメは糞塗れで教師に泣きつく。彼女は一限の途中で登校した。つまり寝坊したのだ。今は寝坊の言い訳を繰り返している。
「朝起きたらもう八時でウンコするの我慢してパン咥えて学校に向かったんじゃあああああああ。でも全裸だったの思い出して家に戻ったんじゃあああああああああああ。そしたら鳥がウンコ飛ばしてきたり、犬のウンコを拾ったり大変だったんじゃあああああああああああああ」
糞塗れの言い訳だが、要するに寝過ごしたのである。教師は呆れる。
「いやあ、おめえそりゃあただ単に寝坊しただけだろ。ま、そんなことはどうでもいいさ。さあ、早く席に着け。めちゃくちゃワクワクする授業を再開するぞー」
御供先生は軽い返しでサクマヒメを許し、授業を再開する。今は御供先生の気功学の真っ最中だ。何でも手から気功を飛ばす方法を理論的に説明するという、めちゃくちゃワクワクする内容だ。
「教科書を忘れたんじゃああああああああああああああああ。そこの者、糞塗れのサクマヒメにウンコを見せてくれええええええええええええ」
「はい、んん」
ウラララ‼ は尻を出し力むが
「間違えた! 教科書だった!」
どんな間違いだろうか。ウラララ‼ は少し漏らしてしまったが、すぐにパンツの中に仕舞い込む。
「いや、汚えよ! 最高かよ、この子も!」
ズリネ田くんは監視カメラ越しでツッコミを入れるが、勿論サクマヒメやウラララ‼ には届かない。
「さっきはありがとうな! めちゃくちゃ助かったんじゃあああああああああ」
「いえいえ、お見苦しいものを」
「いやいや、凄く綺麗だったぞ。全く使い込まれてない、新品そのものじゃった!」
それを言われるとウラララ‼ は血相を変え
「心外です! この尻はよく哀空に」
「ああ、いや、教科書の話かと」
「あ」
勘違いに気付いたウラララ‼ は少し赤くなる。
「貴女はウンコの妖怪なのですか?」
「ん、ああ、まあそうじゃな。豊穣の神じゃな」
「やはり、ウンコの妖怪なのですね!」
「まあウンコも豊穣の一部みたいな。肥料的な。肥溜め的な」
ウラララ‼ はサクマヒメとすっかり仲良くなった。ウンコというワードが、まさに生まれたてのウラララ‼ にとって、最も理解しやすく熱いものだった。
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