第11話 奪われた安息
施設から無事に脱出したハルカとレイだったが、その表情には安堵よりも緊張が色濃く刻まれていた。手に入れたデータの中に明かされた真実は、二人にとって予想以上に衝撃的だった。
「ニュードーン計画って、ただのエネルギー開発プロジェクトじゃなかったんだ。」
ハルカが手元の端末を見つめながら呟く。そこに記されていたのは、人類の意識をデジタル化して永遠の命を追求するという恐ろしい計画だった。
「人々の生活を豊かにするはずの技術が、こんな形で使われるなんて…。」
レイも苦々しい表情で同意する。ニュードーン計画の真の目的は、エリート層のみが恩恵を受ける不平等な社会の構築だった。計画に反対する者は排除され、従わない者たちの意識は強制的にデジタル化される。
「この情報をどうする?」
レイが問いかけると、ハルカはしばらく考え込んだ。
「真実を広めるしかない。だけど、その前に安全な場所を見つけないと。」
二人は荒野を進みながら次の目的地を探すことにした。
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日が沈み、夜の帳が降り始めた頃、彼らは小さな廃屋を見つけた。屋根が半分崩れたその建物は、かつて誰かが住んでいた形跡を残している。
「ここなら一晩ぐらいは持ちこたえられる。」
レイが廃屋を確認してからそう告げると、ハルカは疲れ切った体を床に投げ出した。ペンダントを握りしめながら、彼女の頭の中には次の行動計画が渦巻いていた。
「ハルカ。」
レイが彼女の隣に座り、真剣な眼差しで問いかけた。
「お前はこれから先、どこまで行くつもりだ?ニュードーンを止めるのは簡単なことじゃない。」
ハルカは小さく息をつき、目を閉じた。
「怖いよ。でも、私が逃げたら誰も戦わなくなる。それだけは絶対に嫌。」
レイはしばらく黙っていたが、やがて微笑みを浮かべた。
「なら、俺も最後まで付き合うさ。」
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二人が休息を取ろうとしたその時、突然外から金属音が響いた。レイは素早く立ち上がり、銃を構えた。
「誰だ!」
廃屋の入口に影が映る。次の瞬間、ドアが激しく開け放たれた。そこに立っていたのは、ニュードーンの兵士たちだった。
「見つけたぞ、反逆者ども。」
指揮官らしき男がそう告げると、兵士たちは一斉に銃を構えた。
「くそ、罠だったか。」
レイが低く呟き、ハルカを庇うように立ちふさがった。
「データを渡せ。さもなくば命はない。」
指揮官が冷たく言い放つ。だが、ハルカは震える手でペンダントを握りしめながら叫んだ。
「このデータは絶対に渡さない!たとえ命を奪われても。」
その言葉に、指揮官は冷笑を浮かべた。
「愚かだな。だが、意識だけは回収させてもらう。」
その瞬間、兵士たちが発砲した。レイはハルカを抱えながら窓へと飛び込み、廃屋の外へ逃れた。
「走れ!早く!」
レイの叫び声に応じて、ハルカは全力で駆け出した。背後では銃声と爆発音が響き渡り、荒野の静寂を切り裂いていく。
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ようやく安全そうな場所にたどり着いた二人は、荒い息をつきながらその場に倒れ込んだ。
「危なかった…。まさか追手がここまで早く来るとは。」
レイが汗を拭いながら呟くと、ハルカは震える声で答えた。
「でも、このデータがある限り、私たちはきっとニュードーンを止められる。」
レイはそんな彼女を見つめ、静かに頷いた。
「なら、次の一手を考えよう。信頼できる人間にこの情報を渡すんだ。」
夜空には無数の星が瞬き、荒野を薄い光で包み込んでいた。その光景を見上げながら、二人は再び立ち上がる決意を固めた。
「この戦い、必ず勝とう。」
ハルカの言葉にレイが応じ、二人は次なる旅路へと歩み出した。だが、その先に待つものは、さらなる試練であることを彼らはまだ知らない。
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