転生西郷
芝村想吏
第1話
今回の台風はでかい。車で移動するのも怖いくらいだ。早く家に着きたい。心細いよ。そう思いながら風の強い街を行く。
一瞬、ぱっと目の前が白くなった。それに続いて轟音が鳴り響く。
「うわあ!怖え!目の前に落ちやがった!」
路肩の街路樹に雷が落ちた。そしてその街路樹は焼けて倒れそうだ。危ないので逆方向にハンドルを切る。
「ん?何か人がいるような」
倒れた街路樹の近くに人がいる気がした。よく目を凝らすと確かにいた。この台風の中よくこんな所に。しかも雷に打たれて。大丈夫かな?気になったので車を路肩に停め、車を出る。着物を着た大男がそこにいた。
「大丈夫ですか?この天気では危ないですよ」
「ここは何処ん地じゃしか」
「ええと、何処の地かと言われたら、佐賀ですよ?」
「佐賀じゃしか」
「大丈夫ですか?台風ひどいですし、ちょっと送りますよ」
車に乗せて話を聞いた。訛りは鹿児島のようだ。一部聞き取れない。どうしてあんな所にいたのかはいつの間にかあの場所にいたとしか言えないようだ。この台風の中鹿児島まで行くのは大変なので仕方がないので家に連れて帰ることにした。
家に帰ってシャワーを浴びて大男さんにもシャワーを浴びさせた。どうもシャワーが珍しかったようだ。よくわからんが説明してあげた。そして着替えも渡し、コーヒーを飲みながら話を聞いた。
「名前は何というんですか?」
「そうやったね。ゆちょらんかったがね」
そう言うと謎の大男はコーヒーを見ながら言った。
「おいん名前は西郷隆盛ちゆ。薩摩ん西郷隆盛じゃ」
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