異世界転生で子育て!? 息子(魔王)と挑む冒険と日常!

リディア

第1話 転生したら母親だった

「――これは一体どういうことじゃ!?」


 目が覚めた瞬間、ひんやりとした絹の感触が肌に伝わり、鼻腔をくすぐる高級そうな薔薇の香り。見上げた天井には金箔の彫刻と豪華なシャンデリアが煌めいている。この壮麗な光景は、庶民の妾(わらわ)が知る世界ではなかった。


「ここは……天国か?」


 次に目に入ったのは自分の手。いや、正確には信じられないほど美しい細い指で、どこか高貴な気配すら漂わせている。


「何じゃこの体!? 胸も腰も、完璧すぎるではないか!」


 その勢いで胸を掴んでみた。柔らかさと弾力がすさまじい。


「これ、前世で持っておったら、人生が全然違っておったではないか……」


 そんなくだらないことを考えながらも、妾の記憶が急激に蘇る。前世の妾は――ただの30歳のOL。カップ麺をすすりながら疲労でバタリと逝ったのだ。それが何故、こんな完璧なボディに?


「転生……したのか?」


 その言葉を口にした瞬間、心の中で何かが引っかかった。「何故妾が転生したのか?」普通ならば神の啓示や使命があっても良いものだが、そんなものは一切ない。


「まあ、いいじゃろ。転生先が良さそうならすべて良し――」


 そう思った矢先、豪華な扉がガチャリと開いた。


「ママー! おはよう!」


 目の前に現れたのは、小さなツノの生えた少年。黒髪に赤い瞳という魔王然とした容姿でありながら、その顔には満面の笑みが浮かんでいる。


「うわぁぁ! 何じゃ!? 息子!? 妾に息子がおるのか!? いや待て、まず結婚した記憶すらない!」


 彼は妾に駆け寄るなり、ぎゅっと抱きついてきた。温かい感触が伝わってくる。


「ママ、今日もすっごくキレイだよ!」


「……マ、ママ?」


 混乱が加速する。魔王っぽい息子がいて、しかも「母親」と呼ばれる状況。妾は何者なのじゃ?


「いや待て待て、この状況を把握するのが先決じゃ。まずは……妾のステータスを確認してみるぞ!」


 そう思った瞬間、頭の中にポンッとメニュー画面らしきものが浮かび上がった。異世界テンプレのお約束か? と少し冷静になりながら画面を覗き込む。


【ステータス】

名前: セリーヌ

種族: 魔族(魔王の母)

レベル: MAX(カンスト)

HP: ∞

MP: ∞

攻撃力: 世界破壊級

防御力: 絶対防御

スキル: [世界滅亡の一撃], [全知全能], [母の愛]


「……妾、強すぎるじゃろこれ!?」


 画面をスクロールするたびに、妾がこの世界のバランスを完全に破壊する存在であることがわかる。まるで「お前がラスボスだ」と言われているようではないか!


 しかしさらに驚くべきは息子――リオのステータスだった。


【息子・リオのステータス】

名前: リオ

種族: 魔族(魔王)

レベル: 3

HP: 10,000

MP: 50,000

攻撃力: 1,000

防御力: 800

スキル: [ママ大好き], [無限のポテンシャル]


「……レベル3でこのステータス!? 一般人と比べないとわからんが、完全にチートではないか!」


 驚愕する妾の様子を見て、リオはきょとんとした表情で首を傾げた。


「ママー、どうしたの?」


「いやいや、どうしたも何も! この[ママ大好き]というスキル、どんな効果なのか見てみるぞ!」


【スキル: ママ大好き】

説明:

母親を愛する心が最大限に高まるスキル。母親が近くにいると以下の効果を得る。

• 攻撃力と防御力が200%上昇。

• 母親に褒められた際、自分のHPが全回復する。

• 母親に叱られた際、泣きながらランダムな強力魔法を発動する。


「……危険すぎるスキルではないか!」


 褒めたら無敵、叱ったら暴走という仕様はどう考えても扱いづらい。こんなスキルを持つ息子を育てる責任が妾にあるのか!?


「リオ、このスキル、いつから持っておるのじゃ?」


「えっと……ずーっと前からだよ! だってママ、大好きだもん!」


 リオは満面の笑みを浮かべながら再び妾に抱きついてきた。その可愛らしさに、妾は危険スキルの問題を一瞬忘れてしまう。


「……可愛いは正義じゃのう。」


 妾はため息をつきながらも、この世界で母親として生きていく決意を固めた。しかし、次の一言が状況をさらに混沌とさせた。


「それで……パパはどこにおるのじゃ?」



▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲

 最後までお読みいただきありがとうございます!本日は、午後6時にもUPいたします。

 母と息子が織りなす異世界子育ての冒険はまだ始まったばかりです。親子の成長と絆、そして世界の謎をぜひ一緒に見届けてください!

 続きが気になる方はぜひフォローをお願いします!次回もお楽しみに!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る