あさ

@ironpriest

第1話

 朝目覚めると虹の上だった。

日は頭上で燦々と照っている。肌がチリチリ痛んでおかしくはないほど、間近に感じられた。しかし、温度は奇妙なほど届いてこない。

足下に流れる雲はまばらで白色が眼を叩く。千切った綿菓子のようであった。

風が悠々とふいている。髪がするするなびいていた。

金切貞吉は、左手をずいと虹に突き身を起こした。

巨漢である。半裸であった。腹は引き締まり胸は厚い。肩は丸く玉を押し込めたようであった。 

ふむ。

視線を虹の彼方へやり、頭を振る。

己の置かれた状況を確認しようとしているようであった。

眼前には、標高の高い山々が連なり、眼が眩むような景観を作り出していた。

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