第10話

すると、先輩は



「ここから中等部移動も、だけど…中1に間違われるなんて…」



私を頭のてっぺんから足の先まで見ながら



「うん。あり得…るなっ!」



首を縦に上下させる。



「そうです!私、スゴイでしょっ?」



私もうんうんと、首を縦に…



「違います!あり得ませんっ!」



流されそうになり、慌てて否定した。


そんなに断言しないで欲しいです、先輩!


それにしても、先輩も背高いなぁー……


あの魔王と同じ位かな?


ツンツン頭で、人柄良さそう。


そこは正反対だわ!


笑う病気もおさまったみたいだし、保健室に連れて行かなくても大丈夫そうね。


安心した。



「ところであのー……先輩、ここ何処ですかね?」



キョロキョロと辺りを見渡す。


と、


……うっ!あっ、あの人は!?


ぎゃっ!こっちに歩いて来てるっ!!



「ここ?ここは2年の…あっ、中等部じゃないよ?」


「わっ、分かって…るかもです」



少し後ずさりながら答える。







「高田、ミナが呼んでる」



魔王が、私の方をうっとおしそうにチラ見し、高田先輩に話し掛けた。



「よっ!小川…って、お前、オレを呼びに来たんだ?へぇ…じゃ、小川、このすずちゃん、中等部じゃなくて高等部の1年棟まで送ってやって」


「へ?」


「は?」



なっ、ななななんて事を魔王……いや、小川先輩に言うんだ!


ほら、あからさまにこっち睨んでるよっ!


やっぱ、こわっ!



「たっ、高田先輩、私は全然、全く大丈夫なので!で、では、先輩方、ごきげんよう!わははは」



じりじりと後ずさる。

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