~深夜の真昼~『夢時代』より冒頭抜粋

天川裕司

~深夜の真昼~『夢時代』より冒頭抜粋

~深夜の真昼~

 永い経過を浮き彫りながらに俺の背後は歴史を微動(うご)かし、幻想(ゆめ)の深夜に斬新(あらた)を託せる〝一(いち)の結果〟を見定め始めて、「永い思春(はる)…」から忘れられ生(ゆ)く自己(おのれ)の旅路を痛感していた。遥か以前(むかし)の思中(しちゅう)に揺蕩(ゆら)げる身欲(みよく)の行方(かなた)は、俺の勝気を自由に根絶やし、女性(おんな)の表情(かお)には幻想(ゆめ)に映せる浪漫の空虚が燦々跳び散り、足を早めた一春(はる)の揺らぎに捨て身を装う勇者の孤独は、一女(おんな)の目前(まえ)から脳裏へ閃く苦境の境界(はざま)を散々説いた。解(と)いても解いても夢中に蔓延る幻(ゆめ)の穂先(ほさき)は、無重(むじゅう)を許せる宙(そら)の空間(すきま)に俺の躰を堂々象り、慌て無沙汰に寝室(へや)を安(やす)める五月蠅(あわ)い態度の日常(いつも)の方(ほう)へは、幻視(ゆめ)の脚色(いろ)から真摯を疑う〝気味〟の王者を懐へと遣る。俺の白紙(こころ)に幻想(ゆめ)を擡げる両腕(かいな)が先立ち、孤高に居座る〝イスカリオーテ〟の賢者の果(さ)きへは、微睡みさえ無い自然(あるじ)の企図にて養い続ける古豪の賛歌が破滅を見出し、黄泉の理郷(くに)から空転(くうてん)して生く古来独白(むかしがたり)の思中(しちゅう)の範囲(うち)には、現世(このよ)の女性(おんな)の一人も懐けぬ孤独の勇者が誕生して居た。

「全部幻、全ては虚無だ」

 文言(ことば)の括りに白紙(はくし)を操る〝夢見上手(ゆめみじょうず)〟は変化(へんげ)を気取らせ、「玉手箱」から資金(かね)を取り出す〝X情緒〟に期待をしながら、空気(しとね)に巻かれる寂れた漢(おとこ)は、欲芽(よくめ)を抜け出し孤高に参じ、〝慌て眼(まなこ)〟に一女(おんな)を射止める身軽(かる)い真摯を詠み取りながらも、自己(おのれ)の心身(からだ)が端正(きれい)に纏まる黄泉の郷(くに)へと埋没して居た。苦し紛れの発言(ことば)の果(さ)きから苦労の所在(ありか)が詩吟に拾われ、〝在る事無い事〟、一女(おんな)の両眼(まなこ)に砕かれながらに意味を通せぬ神秘(ふしぎ)の孤独に半身(はんみ)が削(や)られて、淋しい空間(すきま)に寝屋を観るうち孤高の辛苦に下肢を遣りつつ、自己(おのれ)の分業(ノルマ)は自己(おのれ)が覚(さと)すと事始(こと)の常軌を仰いで在った。手短(みぢか)に懐ける俺の延命(いのち)の孤独は未だに、一女(おんな)の屍(かばね)を大事に葬り、俗世(このよ)の男性(おとこ)の巨体を葬る〝破壊の一術(すべ)〟など器用に改め、暗い路地から暗夜(あんや)に赴く〝私闘遊戯(しとうゆうぎ)〟の成れの果てには、純白(しろ)い毛脛(けずね)が一女(おんな)を相(あい)する女露巣(エロス)の局部(かなめ)を掘弄繰(ほじく)り出した。女性(おんな)の満中(なか)から異様に垂れ生く臭味(しゅうみ)の溜まりは無用に介せぬ安(やす)きを仕上げて、無造(むぞう)に揺蕩(たゆた)い持熱(じねつ)の温度を一定(さだめ)に従い一男(おとこ)を足らしめ、男性(おとこ)の目前(まえ)にて「腐り水」に成る無応(むおう)の〝天(てん)〟などその実(み)に挙げた。清閑(しずか)な寝息が幻想(ゆめ)の間(ま)に間(ま)に追想して居り、端正(きれい)な小口(くち)から美味を語らう古来独白(むかしがたり)の帳尻さえ在り、淡麗(きれい)に解(と)け出す孤独の諸刃(やいば)は表情(かお)の樞(しかけ)を伽藍に見忘れ、明日(あす)の行方(かなた)に心身(からだ)を培う未盲(みもう)の棲家を追走して居る。孤独の空壁(かべ)には男女(だんじょ)の蛻がひそひそ留(とど)まり俺の身欲は両親(おや)を捨て去る自然(じねん)の勝気へその実(み)を付かせて、俗世(このよ)の分野の有る事無い事総てを与(あず)ける夢想(ゆめ)の初端(はし)には、明日(あす)に旅立つ日陰(ひかげ)の勇気が一気に醒め往(ゆ)く無益を呑み込み、漆黒(くろ)い軒端へ延命(いのち)を躰を預ける無効の用途へ〝その気〟を削がれて、齢頃(よわいごろ)まで真白(しろ)く懐ける夢想(ゆめ)の憤怒を土装(どそう)に見舞われ、明日(あす)へ近付く孤高の集落地(アジト)は宙(てん)から洩れ堕(お)つ幻(ゆめ)の参議に〝夢中〟を想わせ空路を履かせる拙い賛歌の美貌を売った。人の波間に究めて名高い虚空の蔓延る滑稽(おかし)な集成(シグマ)は、孤独の傘下に微妙を這わせる〝人〟の杭まで旨を破れる総実(そうみ)を顕し、旧来独白(むかしがたり)に〝意味〟を遣り尽(き)る無謀の根(ね)の端(は)は派閥を命出(めいだ)し、齢語(よわいかた)りの経過へ赴く神秘(ふしぎ)の〝読破〟は未知を透して暗黙(やみ)を見出し、旧然独白(むかしがたり)の渡航の相手を無知に拡げて納得して居た。独り善がりの生粋(うぶ)の気迫が現代人(ひと)を跳び越え虚空へ仕上がり、やがて華咲(はなさ)く栄誉の紐解く旧然(むかし)の〝趣味〟には一向化(か)われぬ貴重が合され、現代人(ひと)が講じる拙い理性(はどめ)は緻密を象り囲いを馴らし、稚拙ばかりを宙(ちゅう)へ問い生く死太(しぶと)い馬鹿差(ばかさ)を微睡みにも観た…。現代人(ひと)の〝馬鹿差〟は具現を透して肢体(からだ)を解体(ばら)けて、自己(おのれ)の未完(みじゅく)を自然(あるじ)へ隠せる幻視(ゆめ)の音頭に祭を見出し、発見・発想あらゆる分野が未完(みじゅく)に静まり寝息を絶やせば、遥か旧然(むかし)の諸刃(かたな)の余命(いのち)が「学(がく)」を講じて脆々(もろもろ)崩れる微弱(よわ)い音頭を温度に込めた。…人間(ひと)の孤独は功徳の功(こう)から化身を顰めて、〝嵐ヶ丘(あらしがおか)〟の宙(ちゅう)の外界(そと)から見事に咲き生く四肢(てあし)を列(なら)べて、明日(あす)の孤独を揚々小刻(こきざ)む旧い功徳の労(ろう)の順序は、暗黙(やみ)の行方(かなた)へそっと巻かれる軌道の線路を充分占めた。天候から成る二局(ふたつ)の事始(こと)には終始に纏わる無答(むとう)が息衝き、現行人(ひと)の伝来(おしえ)の初端(はじめ)に観て来た夢想(ゆめ)の文言(きおく)の背後から観て、怒涛を想わす現代人(ひと)の生路(うち)には孤踏(ことう)に纏わる人途(じんと)が呟き、話し初めの〝孤島〟の記憶は旧然(むかし)・前後の村納めに在り、現行人(ひと)と現代人(ひと)とが土宙(そら)を見上げて逆差(さかさ)を識(し)る頃、暗夜(やみよ)の装飾(かざり)に巷を賑わす幽霊童女(ゆうれいどうじょ)の成れの果てには、〝荷物〟に見紛う現代人(ひと)の生気が正気(たしか)を見忘れ悶絶して在る…。――――

      *

 俺は田舎・愛媛県の何処(どこ)かに在る、学校に居た。夜の黒が冴える夜だった。俺は女性に飢えて居り、従兄弟(金男かなお)に(金男の)職場で金男と一緒に働く女性(おんな)が金男の彼女と成りそうな夜だった。俺は女性に飢えて居た事もあり、又、夜の黒がとても冴えて、誰か一緒にこれ(夜のとても奇麗なくろ)を見てくれる女(ひと:理解者)が欲しい、と思っていた所だったので、金男の事が羨ましく、夜の校舎、校舎から見える周りの校舎や運動場、遠く、等を眺めて居た。俺は金男の職場で働くその女を見て知って居り、大人しそうなキャリアウーマンといった感じで在り、しゃきしゃきして居そうで、身体は締まって在るがタイトにぎゅうぎゅう詰ってむちむちして居り(特に太腿から膝辺り)、それなりに奇麗で可愛らしく、矢張り他の男からも好かれて居そうだった。

      *

 無音の明けから極度の〝明け〟まで身軽(かる)い調子にその実(み)を這わせて、野平(のっぺ)りして来た少女の体(てい)へは俺の〝廓〟が廻転(かいてん)し始め、女性(おんな)の正気を展開して行く未刻(とき)の経過(ながれ)は盲(もう)へ失(き)え馳せ、清閑(しずか)に見送る黄泉の碇は「俺の躰」を女傑(にょけつ)へ停(と)め付け、〝盲(もう)〟の旧巣(ふるす)の集成(シグマ)の果(さ)きへは、未決(みけつ)に自慰する流行(ながれ)を識(し)った。識(し)った延長(さき)から奮える四肢(てあし)を余分に託け寝間の裾から自分を挙げ沿う未解(みかい)の自慰(しぐさ)に混在しながら、器用の寝室(ねむろ)に孤高を添え得る人間(ひと)の添え木の芯体(からだ)の麓(すそ)には、日々の常識(かたち)の〝向き〟が呈する〝醜女(しこめ)〟の体脂(あぶら)が艶(あで)に煌(ひか)った。

 一女(おんな)の体指(さき)から弓に萎え得る輪舞曲(ロンド)が空鳴(からな)り、厚手の衣服(ふく)から男性(おとこ)を這わせる〝無駄〟の遠慮を陽日(ようび)に気取らせ、白衣の内にて一女(おんな)の手先を器用に割かせる用(よう)の自主(あるじ)に夢想(ゆめ)を問う時、俺の一体(からだ)が奇妙を講じる空気(もぬけ)の辺りは一面(おもて)を袈裟懸け、旧い波調(なみ)から奇特を想わす矛盾の〝肴(さなか)〟を漁師に遣った。「人の精神(こころ)を宙(そら)に咲かせる漁師」の意である。孤独の波調(なみ)から分岐を引かせる幻想(ゆめ)の矜持に精参(せいさん)する後(のち)、明日(あす)の固地(こじ)には無論に這わせる〝弓〟の形(なり)から問いが片付き、暗夜(よる)の帳へ大きく添い足る人群(むれ)の囃しに猫背を魅せた。幻夢(ゆめ)の独語(かたり)は〝白木(しらき)〟の三宝(たから)に幻酔(げんすい)しながら〝十(とう)〟の頃より齢(よわい)を手招き、明日(あす)と現行(いま)との可弱(かよわ)き境界(はざま)に無味を列(なら)べる文言(ことば)を牛耳る…。他(ひと)の背後は黄泉の理郷(くに)から真白差(しろさ)を訴え、如実にしながら幻(ゆめ)を懐ける一人(ひと)の幇助へ感嘆した儘、俺の〝向き〟から他(ひと)の習癖(くせ)まで容易く壊せる手腕(うで)を儲けて、安らぎ顔(がお)から貌(ぼう)を散らせる夢幻(ゆめ)の小躍(おどり)に衰退する後(のち)、俺の巨躯には自然(あるじ)が還れる孤独の明朗(あかり)が斬(ざん)と坐った。他(ひと)の居間から未刻(とき)を感じる幻(ゆめ)の既視(デジャブ)は孤高を識(し)らせず、浮き世の女花(はな)からその実(み)を成らせる悪の臭気は人体(からだ)を通わせ、現代人(ひと)の派閥にその実(み)を奪(と)らせる〝無刻情緒(むこくじょうちょ)〟の我信(エゴ)を募らせ、抜刀するまま自己(おのれ)の諸刃(やいば)で女体(にょたい)を切り裂く暗黙(やみ)の審議にその個(こ)を余せて、無言の許容(うち)へと他(ひと)を這わせる〝功徳〟を興じる理想の〝水面(みなも)〟は、現行(いま)に生じる無信(むしん)の末路に男性(おとこ)を這わせて延び延びして居た。

 曲(きょく)を究める無効の極致(きわみ)は詩吟に手始め、明日(あす)の三歩(さんぽ)を五歩にも化(か)え行く〝意味〟の吟味を術無(すべな)く見納め、明日(あす)から黄泉への現行人(ひと)の深理(しんり)の不定の暗黙(やみ)には、独創(こごと)に概(おお)きく無理を重ねる不審の可能(かぎり)が棒線(せん)を引き摺る…。幻想(ゆめ)の夕日に大人(ひと)の孤独が成人(せいじん)にも成り、明日(あす)の常識(かたち)へ俺が堕(お)ち得ぬ向きの諸刃(やいば)を連達(れんたつ)しながら、自己(おのれ)の独創(こごと)に十二(じゅうに)を身構(かま)える個得(ことく)の精心(こころ)を用意に夢見て、一人(ひと)の協歩(きょうほ)に正味(あじ)を占め行く未活(みかつ)に上(のぼ)れる正気の自主(じしゅ)には、言葉を気取れぬ〝囲い〟の人種が「今日か未(いま)か…」と微塵を待ち得た幻想(ゆめ)の虚無への残骸が在る…。俺の幻(ゆめ)から一女(おんな)が蹴上がり宙(そら)へ還れる気力を呈して、人間(ひと)の孤独に未完(みじゅく)を束ねる一男(おとこ)の〝偏見(せいぎ)〟は冥利を蹴散らし、一女(おんな)の上気に女体(からだ)を観たまま女肉(にく)の仕種に軟(やわ)らを撓(しな)らせ、明日(あす)の傘下に現代人(ひと)を侍らす構舎(こうしゃ)を目立たせ文言(ことば)は皆目…、一人(ひと)の通える孤独の激務を紆余に曲げ足る〝猫背の直(なおき)は、無駄に蔓延る人間(ひと)の感情(こころ)を無信(むしん)の余りに曲進(きょくしん)して活き、一女(おんな)の文句(ことば)の〝葦〟の四肢(てあし)は陽光(あかり)を怖がり俺を見定め、〝意味〟の通らぬ孤独の道理は論理を安めて一女(おんな)に奪(と)られる緩い流行(ながれ)に暗記を識(し)った。二男(おとこ)と一女(おんな)の緩い気長(きなが)を気流(ながれ)に沿わせて体熱(ねつ)を牛耳り、俺の体裁(かたち)は道理を知らずに暗黙(やみ)へ透れる夜目(よめ)を観るうち女性(おんな)の残骸(むくろ)を気長(きなが)に見回し、明日(あす)の目下(ふもと)へ繋がる〝社(やしろ)〟を現行(いま)の許容(うち)から培う手腕(うで)には、幻想(ゆめ)の跡から孤高を脱する旧い空間(すきま)が這入って行った。慮心(りょしん)の微動(うごき)のこの眼(め)を晦まし、語句の極味(きわみ)に吟味(あじ)わいながらも、俺の感覚(いしき)は眩い自主(あるじ)に参観しながら、空虚を保(も)たない憂いの宮(みやこ)へ到達して居た。一女(おんな)の内装(うち)には涼風(かぜ)が吹くほど美潤(びじゅん)を企図して俺の精神(こころ)は絹を巻く様(よ)な故意を識(し)ったが、果ての見得ない自然(あるじ)の果(さ)きには木の葉程度の身軽が示され、俺と童女(おんな)の背中の揺らぎは揺蕩い内(なか)にも貴重が在った。貴重を掴める人間(ひと)の温度の順序の果(さ)きには一女(おんな)の感覚(いしき)が終(つい)と保(も)てない夢想(ゆめ)の可能(かぎり)が陶酔しており、現世(このよ)の自主(あるじ)に幻想(ゆめ)の全体(からだ)を揺ら揺ら空転(ころ)がし無垢の掌(て)に載る古来独白(むかしがたり)の御身の果(さ)きには、苦労性から真摯(まじめ)を引き抜く寄席を気にした問わず語りが、宙(ちゅう)を跳び越え俺まで暗転(ころ)がり、無口に寄り添い無口に競える一夢(ゆめ)の審理を傍観して居た。幻想(ゆめ)の紳士はいとも容易く無断を偽り俺の日(ひ)の粉(こ)を揚々身(み)の粉(こ)に弄(あそ)んで在ったが、俺の脳裏に纏わる懐景(けしき)は殊に揺蕩い憂いに拡がり、硝子箱(がらすケース)に微塵に空転(ころ)げる〝転(まろ)びの深夜〟を堂々巡りの心鉢(はち)に合せて、気取る文句(もんく)も少ないながらに孤踏(ことう)の順序は端正(きれい)に小波(さざ)めく〝幻(ゆめ)の盲者(もうじゃ)〟に飽き飽きしている…。苦心に溺れる〝金男(かなお)の未完(みじゅく)〟は現世(このよ)に疎まれ、幻覚(ゆめ)の正理(せいり)に矛盾を感じる自主(あるじ)の定律(おきて)は空(くう)へ転んで、幻視(ゆめ)の自主(あるじ)の堂々巡りに漆黒(くろ)い機転(てん)から一つ微睡む、後光の陽光(ひかり)を芯に取(う)け止(と)め、「未完独白(みじゅくがたり)」の覇王の牙城(しろ)へは現世(このよ)の俗人(ひと)から軽視され生(ゆ)く現行人(ひと)の〝独歩(あるき)〟が横行していた。一女(ひと)の宮(みやこ)は俺の文言(ことば)を自己(おのれ)の白紙へ軟く落せる無機の仕種に自体を晦まし、陽明(あかり)に間近い一人(ひと)の方(ほう)へは弓の張りから自動を通せる憤怒の思惑(こころ)を好(よ)く好(よ)く覚(さと)し、未完(みじゅく)の一坊(ぼう)から呼吸を気取れる旧来独語(むかしがたり)の安堵の果(さ)きには、俺と現代人(ひと)との孤独の所在(ありか)が向きを認める微かな「寝言」が散乱している。当てに成らない現世(このよ)の女性(おんな)の言動(うごき)の機微には俺にとっても無駄を配する一路(いちろ)の自主(あるじ)が文句(ことば)を列(なら)べて、明日(あす)の夜長を検覧(けんらん)して生く無機の様子は一女(おんな)の身軽に散々留(と)められ、口を封じる主観(あるじ)の生歴(きおく)は孤高に居座る旧来(むかし)の人途(じんと)に〝華〟を添えさせ見事に逝った。

      *

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~深夜の真昼~『夢時代』より冒頭抜粋 天川裕司 @tenkawayuji

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