いつかまた
藤間詩織
第1話 再会
「恭平君」
振り向くと若槻充希が笑顔で立っていた。
今年の四月に充希がA型作業所に就職して会えなくなって、恭平はラインをブロックしてしまったままだった。
「どうしたの?」
「肺の病気の疑いで作業所一か月休職してデイケアに通うことになったの。恭平君は今日は作業所は?」
「ああ、今日は休み休み」
A型作業所よりも給料が安いB型作業所は勤務体制も自由だ。
麻雀やりたくなったらデイケアに来ればいい。
「わたし、B型作業所になるかもしれない」
「え?ホント?」
正直、充希が休職したと聞いて、辞めちゃえと思ったので、内心嬉しかった。
恭平は充希に引け目を感じていたし、充希が昔デイケアにいた泰という男を追いかけまわしていた時、嫉妬にくるっていた。
泰なんて死んじゃえばいいのに!
泰は東京の会社に障害者雇用として働きに行ったきり、充希の前に現れなかった。
俺の出番と思って、ラインで一生懸命駆け引きをしたつもりだったが、充希は一向にマイペースのままだった。
そして、A型作業所に就職していってしまった。
あれから、春が去り、夏が去り、一気に冬が来て12月になった。
来年は、同じ作業所で充希と働きたい。
「ラインブロック外してよ」
「ごめんごめん。今外すね」
恭平は、チャンスと思ったまま慌てた。
スタッフが近づいてくる。
男女恋愛は禁止な場所だ。
なんとかライン交換すると、充希が刺し子を縫い始めた。
恭平は、充希が見える場所に座って、麻雀を始めた。
今日の麻雀は勝てそうだ。
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