第29話 海ッ!
海。そう、海。
なんか、青くて夏になったらみんなが狂ったように行く、海。
なぜか、定価の数倍の値段の物が平然と売ってある、海の家。
すごく、冷たくて、海中で目を開けるとものすんごい痛たい海。
なぜか、夏の風物詩ですよ。みたいな顔を平然としている海。
そして、せっかく海来たくせに、海に入らず砂浜で寝転んでるやつ。
砂の城を本気で作ってる馬鹿な高校生。
気分で海に来たけど、余りの人の多さに絶句している奴。―――そう、俺だ。
みんな、海、好きだよな。
ちなみに俺は、この時期の海はあんまり好きじゃない。
なぜなら、人が尋常じゃないぐらい多いからだ。
というか前、下見に来た時よりも圧倒的に人が増えているように見えるのは気のせいだろうか。いや、絶対気のせいではない。
なぜだろうか。ここらへんの高校ほとんどが夏休みに入ったからか? そうかな? そうかも。
海だぞ? たかが海。なのにもかかわらず、なんでこんなに人が集まるんだよ。
まあ、俺もそのうちの一人だから何とも言えないわけだがな。
はあ、結局後で沙奈がいないことを確認して、しっかりと水着を購入したわけだが。
この人の数だと、沙奈を見つけるのも一苦労だな。
俺はそんなことを考えながら、砂浜の端から端を目で追うが、それらしき人影は見つけられない。というか、なんでこんなに金髪の奴が多いんだよ。
なぜか、異常なまでに大量発生している金髪野郎どものせいで、沙奈唯一のアイデンティティともいえる金髪が全く人探しに貢献してくれない。
いや、そんなことを見越して、砂浜ではなく、コンクリートでできた道。もしくはアスファルトの上にでもいるのではないか。
そんなことを考えてみて、辺りを見回してみてはいいものの。それらしい人影はない。
集合時刻は十時。今は十時十五分だから、ついていると思うのだが。
一体どこにいるのだろうか。俺は再び、砂浜に目をやる。
✕ ✕ ✕ ✕
私は、ぼやける目をこすりながら、ゆっくりと体を起こす。
今日は正也と海に行く! ふふふ。楽しみだなあ。
私はベットの隣に置かれている時計に目をやると、その時計が差し示している時刻が、十時十五分。
約束時間が………十時。
やってしまったああああああああああああ!!!!!!!!!
なんで? なんで? そんなことを考えていると、ある一つの結論に到達する。
そうだ。昨日は明日が楽しみすぎて、深夜三時とかに寝たんだった。
あああああああああああああ!!!!!!!!!!!!
私はおもむろにスマホを取り出し、Lineのアプリ画面をタップして開く。
明日空いてる? 二日前に聞いたメッセージが今でも残っているのを横目で見つつ。そしてすぐに。
――ごめん!今起きた!
と、簡素なメッセージを送った。
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