1つだけの小さな星

Veroki-Kika

プロローグ 

森の中を,1人の少女が走っていた。

走っていた少女がこける。

カサ。

倒れて動けない少女に,謎の男が近づいていく。

男の手が,震える少女の腕に近づいていく。それに連れて,男のくちびるがどんどん上がっていく。

「いやぁぁぁぁぁっ!」

少女の悲鳴が,森に響いた。

星名せな!」

男が少女の手を掴む前に,1人の少年が少女を抱き上げた。

星空せいあ!」

少年は少女を下ろすと,少女を守るようにたった。

「オヤ。姫君が1人の時の方が都合が良いのだけどね」

男は残念そうに笑う。

少年は噛みつきそうな鋭い目で相手を睨んだ。

「お前みたいな奴に,大切な星名せなを渡してたまるか!」

少しだけ男の眉が上がった。

「お前みたいなやつ…とは心外だな。ボクは偉大なる闇の王だよ?」

2人の男子が睨み合う。

「なぜ闇のモノが光の子である星名せなを狙うんだ!」

男はじっと少年を見た後,次に少女に目を移した。

少女はビクンッと肩を振るわせる。

「姫君が…特別だからだよ」

男は,自分の胸元のネックレスを持ち上げ,少女のかけている色違いのネックレスを指さした。

星空せいあ…紙を…ちょうだい…」

少年から紙を受け取った少女は紙に筆で何かを書き付け,高らかに叫んだ。

「star drop‼︎」

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