こんなにも優しい春乃さんは泣き虫だった
縞間かおる
第1話 大好きなセンパイ
本当は『お姉さん』って呼びたいくらいの関口
私は今、雑貨を扱う小さな会社にお勤めしているのだけど、春乃さんは社長の遠い親戚の方で……同じ『関口』なので……皆、センパイの事を『春乃さん』って呼んでいる。
事務仕事を一手に引き受け、社員の健康管理や社屋の保全……挙句の果てにはフォークリフトを操って品出しなんかもやってしまう。
とにかく社長を始め社員全員が春乃さんに“おんぶにだっこ”だったので……せめて事務仕事の補助が必要と……私が雇われたわけだ。
その面接も春乃さんにしていただいた。
私が面接の為に始めて会社に訪れた時、春乃さんはヘルメットを被り軍手に作業着のいでたちでハンズフリーイヤホンで顧客と会話をしながら事務所に戻ってきたところだった。
私の姿を認めると、少し顔を赤らめて一礼し、手に持っていたクリップボードで応接スペースのソファーを指し示したのだけど、その拍子にペンを取り落としてしまい、私が駆け寄ってペンを拾い、お渡しした。その時の春乃さんのお顔がとても可愛らしくって……「ここで働けたらいいなあ」って、「ご縁があったらいいなあ」って思った。
だから、春乃さんから「来ていただいてもいいですか?」ってお電話をいただいて……
その時、たまたま街中に居たのだけど「はいっ!!」って大声で返事してしまった……
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