第7話・産卵型異次元超獣乙女『ベログロン』登場【超獣乙女VS地域防衛隊】
突如──両手がカニバサミ型女性宇宙人『ロッカク星人』が、真昼のビルを内部から破壊して現れた。
「サカナ カナ出てこいやぁ!」
現れたロッカク星人が、どこからか取り出した巨大なスマホでL
突然、壁のようなスマホを下に向って叩きつけて、スマホが地面に突き刺さった。
「セレブ星人のヤツ、彼氏とデートで夜にはディナーだと! ふざけんな、侵略協力をドタキャンかよ! こっちはワザワザ巨大化までして待っているのに……あっ、ケムケム人のヤツもスマホの電源切ってやがる……そんなに、あたしと関わりたくないのか!」
その時、叫び声と二つの遺伝子
「カナァァァァァァ!」
「サケェェェェェェ!」
ロッカク星人は、カニバサミの手で地面に刺さったスマホを引き抜くと。
アホ毛を動かしている、華奈に向かって言った。
「現れたか、サカナ カナ……わたしが好きな言葉です、アレ? もう一人いる?」
ロッカク星人は、華奈の隣に並んで立つジンの男体を見て、顔を背けて赤面した。
うつむいたまま、ジンに向かって歩いて来たロッカク星人は、下を向いたまま、伊達メガネをジンに差し出して言った。
「すみません、このメガネかけてもらえませんか……あっ、なにも仕掛けはしていませんから……大丈夫です、天地天命に誓って」
ジンがメガネをかけると、ロッカク星人のテンションがいきなり上昇した。
「どうしょう……マジでド・ストライクゾーン……好みのタイプの男」
ロッカク星人がカニバサミの手を、ジンに向かって差し出して言った。
「結婚を
ジンの即答。
「ごめん、ボクには華奈がいるから」
半笑いするロッカク星人。
「そう、そうですよね……ごめんなさい。もう戦いは『よそう、サカナ カナ』……なーんて言うと思うか!」
ロッカク星人の言葉に、ファイティングポーズを解いた華奈に向かって、カニバサミから伸びたムチ光線が飛ぶ。
高笑いをするロッカク星人。
ムチ光線を払い落とす華奈。
「なんで、ジンくんじゃなくてあたしの方に攻撃するのよ!」
「なんとなく……裸の男は攻撃しにくい」
「そっちが、その気なら」
華奈のパンチが、ロッカク星人の腹部に命中する。
「おごっ、お腹にボディブローは……効く」
地面に土下座して謝るロッカク星人。
「ごめんなさい、ごめんなさい、調子に乗っていました……許して……なーんて、言うと思ったか」
ロッカク星人は、近くにあった風力発電の風車を引き抜くと華奈に向かって、奇襲で殴りかかる。
軽く体をひねって風車攻撃をかわす華奈。
「だから。なんであたしなのよう! もう、頭きた!」
飛び下がった華奈が、
ロッカク星人は、待っていましたとばかりに胸のフロントホック防具を開いて、華奈が放った光線を反射してドヤ顔をする。
「効かんなぁ、そんな光線技」
ロッカク星人は、ジンの方をチラッ見して、顔を赤らめた。
「やっぱり、見えない……透視するX線のロッカクアイでも、モザイクで見えない」
その時、空にロッカク星人の円盤が現れ、地上にいたロッカク星人を縮小して円盤に吸い込んだ。
「ひぇぇぇ、上司さまぁぁぁ、ごめんなさい」
吸い込んだ円盤から、投影された画面にロッカク星人が現れる。
画面のロッカク星人が言った。
《部下のロッカク星人が迷惑をかけた、わたしは上司のロッカク星人だ……さすがに部下の所業は卑劣過ぎて、ロッカク星人の名誉に関わるから回収して円盤の牢獄に閉じ込めた》
まったく、部下と見分けがつかない上司が言った。
《わたしからも、詫びる……もう侵略はやめる……なーんて、言うと思ったか!》
円盤から稲妻のようなジグザクな光線が発射されて、サカナ カナを襲う。
サカナ カナの肉体は、人間が黒焦げになるほどの高圧電流を胸に浴びても平気なので、ロッカク星人の光線も平気だ。
動揺したロッカク円盤から、今度はシュラン ジンに向けて、モザイク除去光線が照射された。
《やっぱり、見えない……こうなったら、男の股間を視覚から隠している、邪魔なタワーを破壊するしか……卑怯者もお経もあるものか、南無》
その時──円盤の後方の空の一部がガラスが割れるように砕けて。
中から現れた先端が
《ぎゃあぁぁぁぁぁ! 落ちる、落ちる!》
爆発して商店街に向かって落下していく、ロッカク円盤。
先端が◇型の触手は、ロッカク星人の円盤を撃破すると、シュルシュルと割れた向こう側の空間に引っ込み。
割れた空も元にもどった。
華奈が体の中にいるタマタマンに質問する。
「今の触手みたいなのでなんですか? 円盤生物?」
《オレにもわからない……異次元から出てきたみたいだったが》
◆◆◆◆◆◆
数日後──華奈とジンは着衣した姿で、映画デートを楽しんでいた。
歩きながら華奈が言った。
「普通の日常、普通に着衣して外を歩けるコトが、こんなに幸せだったなんて」
ジンが言った。
「そうだね、これって初デートじゃなかったっけ?」
「あっ、そう言えばジンくんの裸ばかり見ていたから、すっかり忘れていた」
照れ笑いを浮かべて映画館に向かって歩いている二人の前に、歩いて来た見知らぬドレス姿の女性が、立ち止まって一礼して言った。
「この間はどうも、挨拶もできなくて、触手だけお見せして失礼しました」
童話に出てきそうな、
「あーっ、割れた空から出てきた!」
「産卵型異次元超獣乙女『ベログロン』です……分類は円盤生物扱いになる、みたいですけれど」
「その超獣乙女が、なんの用で?」
「一応、戦う前に経歴や、超獣乙女になった身の上を説明しておこうかと思いまして」
「手短にね……これから映画デートだから」
ベログロンの話しがはじまった。
◇◇◇◇◇◇
「あたしは、人間と宇宙フウセンクラゲが合成された生物兵器なんです、あたしを作ったのは異次元で侵略基地を作った異次元住みの『ロッカク星人・エクセレント』です」
そして、ベログロンは人間体の時に、夏の夜の海で全裸遊泳をしていて海中に潜んでいた、ロッカク星人の円盤に船内に引きずり込まれたと語った。
「いやぁ、月があまりにも綺麗だったのでハメを外して、全裸遊泳していたのがマズかったですね」
全裸遊泳していた女は、そのまま海中から異次元世界の基地に連れて行かれて。
カプセルの中で宇宙クラゲと融合させられて〝産卵型異次元超獣乙女『ベログロン』〟として爆誕させられたらしい。
「誕生したあたしは、状況がわからないまま大暴れして、ロッカク星人エクセレントの基地を壊滅させちゃいました……これも、円盤生物の宿命でしょうかね」
「だから、恨みを持つロッカク星人の円盤を撃破」
少し困り顔で微笑む、ベログロンが言った。
「実は暴れて、ロッカク星人の基地を破壊した時に、あたしの体に埋め込むために用意していた【次元移動装置】も壊しちゃってね……ずっと、異次元から現実世界に出られなくて困っていたら……親切な元人間の人がやって来て異次元移動装置を直してくれて」
華奈の口を借りてタマタマンが華奈の声で、ベログロンに質問する。
「《誰だ? 誰が装置を直したんだ》」
「水のない惑星に着陸して、救助に来なかった地球人を恨んで乗ってきたロケットを自力で見えない円盤に改造して、地球に戻る途中だった宇宙飛行士……体質はかなり人間から異体に変化していましたけれど……顔は怖かったけれど優しい外人さんでした」
話しの終わった超獣乙女ベログロンが、変身ポーズをする。
「あたしの話しは終わり……それじゃあ、戦いますか変身」
ベログロンの姿が超獣乙女の姿に変わる、下半身はベルドレスのような宇宙クラゲ、クラゲの頭頂に人間体が付いている。
ベログロンの全長は、頭頂の人側体が巨大化した華奈と同じ大きさなので、相当大きい。
ベログロンを見あげる華奈。
「大きさが、あたしたちが巨大化した時の三倍くらいあるじゃない……こんなの倒せないよ」
《それでも裸で戦え、サカナ カナ……おまえたちの着ている衣服は巨大化して千切れても、変身を解いたら自己再生する繊維だ》
「裸じゃありません、ああいう模様なんです……カナァァァァァァ!」
「サケェェェェェェ!」
サカナ カナとシュラン ジンが出現する。
華奈とジンは、先手必勝で光線技をベログロンに向かって放つ。
光波シールドを張ったベログロンには、効かない。
ベログロンが微笑む。
「その程度……期待外れ、それじゃあこちらからいくよ……無痛分娩、母のために爆発しなさい子供たち」
ベログロンの底から、小型の宇宙クラゲがポコポコと出てきて……華奈とジンに襲いかかる、爆発する小型クラゲに華奈が悲鳴を発する。
「自分の子供を爆弾に使うなんて、なんて母親なの⁉」
「無精卵の子供だから、爆発しても全然兵器だもんね……次はミサイルでも超獣乙女だから発射してみますか」
クラゲの底から、今度はミサイルが発射されてジンと華奈を襲う。
ジンが言った。
「ミサイルなんて、さすが超獣……侵略兵器、痛っ、お尻にミサイルが刺さって爆発した」
ベログロンのクラゲ体に、横並びの目が現れる──超獣乙女から凝視される華奈とジン。
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