雪だるま小隊、見参!

「だいぶ雪集まりましたね」


「そうだな。でかい雪だるまがつくれそうだ」


「面白そうな話じゃないか」


 兄さんたちと話していると、後ろからぬぅっと現れた隊長父さんがニヤリ。


「うわ、隊長! 聞いてたんですか!?」


 思わず飛びのきながら慌てて聞くと「当然だろう」とすました顔で頷かれた。


「ちょうどいい、今日はうちの部隊は夜までオフだ。朝飯後の腹ごなしに、雪だるまでも作ってみるか」


「いいですね。この様子なら一個小隊でも作れそうだ」


 オフ日の気楽さも手伝って、みんな思い思いに雪を集め始める。


「俺たちも作るぞ」


 相棒グジムに言われて僕も慌てて雪玉を作り始めた。特に指示されたわけでもないのに、みんなバディごとに行動しているのがなんとなく面白い。

 大きな雪玉をいくつか作って積み上げて、そこらにあった小石や木の枝で飾り付けると雪だるまのできあがり。小枝で作った下がり眉に小石の鼻。にっこり笑顔がかわいらしい。

 訓練場の端の平原を見下ろす崖にずらっと並べると、勇ましい雪だるま小隊のお出ましだ。


「こりゃあ、壮観だな!」


「そうだ。こいつらにも銃を持たせてやろう」


 長い木の枝を集めて自動小銃みたいな形にナイフで削り、雪だるまたちに一本ずつ持たせてやる。全て完成した頃にはちょうどお昼になっていた。


「こりゃあ、立派な雪だるま小隊だ」


「いいな、これ」


「SNSに載せたらみんな喜ぶかも」


 みんなの声に応えて広報担当のグジムが写真を撮る。

 次の日、美しい雪山の風景とともにアップされた雪だるま小隊の雄姿は大好評。


「可愛い!」


「雪だるまさん私を守って」


「僕の村にも来てください」


 こんなコメントと共にたくさんの「いいね」をいただいて、何だか少し照れくさい。


「喜んでもらえて良かったね」


「ああ。皆さんを笑顔にする任務だと思えば悪くないな」


 一つ一つのコメントを確認するグジムの頬も緩んでる。また大雪が降ったら近くの村を手伝って、ついでに子供たちと雪だるまを作ってきてもいいかもしれない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る