第2話


 コーラのペットボトルのキャップを取って、ごくごくごく。

 いや、落ち着こう?突っ込みどころ満載だけど、落ち着こう。

 名前に突っ込みどころはない。

 レベルだ。1なの?

 1からスタートなの?

 地球で生きてた経験値ゼロなの?

 種族が人間なのはいい。ただ、種族って欄があるってことは人間以外もいるということだよね?

 エルフに獣人にドワーフに……それから魔族とか?精霊とか?

 仲良く暮らしてるならいいけど……。仲が悪くて、見えてる街が人間と敵対している人が住む街だったら……。処刑か奴隷コースだ!

 ごくりと唾を飲み込み、もう一度コーラをごくごく。

 ……職業の中途半端な錬金術師って何だろう。

 錬金術師じゃなくて中途半端って何?ねぇ、何なの?

 巻き込まれたというか、うっかり魔法陣の端っこ踏んだ中途半端な異世界転移だから?

 それから、称号!喪女ってなんだ!そりゃ、モテた記憶はないけど、ひどくない?いや、もしかしたら、こっちの世界じゃもっとモテないよ?って話なの?ねぇ、そうなの?

 うん。突っ込み終わったので、手を伸ばして半透明の画面の文字に触れてみる。

 詳細が表示された。

 佐藤……ありふれた苗字。日本一多い苗字。約180万人の佐藤さんがいる。ただしこの世界では唯一。

 佳利菜……佳は美しい、利は賢い、菜は食べ物。美しくて賢くて食べるのに困らないようにという欲張りな名前。

 うん。あのさ。

 中途半端な錬金術師なんて言葉で薄々は感じてたけど……。

「このステータス、ちょっと辛辣じゃない?言葉選びおかしくない?中途半端な錬金術師じゃなくて、錬金術師見習いとか、もうちょっと言い方あるじゃん?」

 ありふれた苗字で悪かったな!この世界では唯一ならありふれてない苗字になったじゃないか!

 欲張りな名前ってなんだ!親の愛じゃないか!親の願いが名前には……って、まぁ、欲張りすぎてどれも中途半端だよ。不細工じゃないけど美しくはない。馬鹿じゃないけど賢くもない。飢えはしないけどご馳走は食べられない……みたいな。ふっ。いいんだよ。それくらいが!

 Lv1にも触れてみる。

 HP28/50

 MP50/50

 うん。やっつけ仕事みたいな数字だなぁ。HPが減ってるの、仕事で疲れたから?

 この数字が多いのか少ないのかは分からないけど、寝たらHP回復すると仮定すると、仕事終わると半分くらい減っちゃうのか。

 次に職業に触れようと思ったけど、喪女に触れてみた。

 喪女……服装に気を配り、神社を参拝するとよい。

 神社あるのか?と考えたらなぜか表示が変わった。

 神社の部分が神殿に。参拝がお祈りに。

「仕事早いな!誰が仕事してるか分からないけど!……っていうか、そうか、そうか、神殿に行ってお祈りね……恋愛関係の神様とかいるの?知らんけど!」

 で、最後に。

 中途半端な錬金術師の部分を指で触れる。

 スキル:薬調合Lv1、道具制作Lv1、錬金鑑定Lv1、錬金収納Lv1

 えっと……。

 鑑定じゃなくて、錬金鑑定?

 収納じゃなくて、錬金収納?

 気になったところからチェックしてみる。

 錬金に関係した物が鑑定できる。Lv1/現在のレベルで錬金できる物のみ有効。

 なるほど。収納も一緒だった。錬金限定の収納。

「いや、これ逆に言えば便利なのでは?だって、錬金に使えるかどうかは鑑定できるかどうかとイコールなんだよね?まるっきり知識のない私にとってはありがたい」

 ……っていうか、中途半端なって、こういうところなの?

 錬金術師ならなんでも鑑定できるスキルが本当ならあるとか?

 うーん、知識ゼロだと分からないなぁ。

 とりあえず鑑定してみよう。

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