第41話 ガルフ王国終焉の時迫る
ゼーニャは、何が起きているのか理解できなかった。
ギビンデルク帝国の兵士が一週間後に侵攻してくると思っていたからだ。距離的な意味でもそう考えていた。
しかし、それは間違いだった。
侵略者は、すでにガルフ王国の城内に潜入していた。しかも、どこかのゲートを通って。
「ふ、ふははははは……お前たちの敗因は、俺をこの城に入れたことだ」
そう、ガロンザバスを城内に入れた時点で、敗北は決まっていたのだ。
「【スキル:ゲート】は、触れた場所、つまり俺が行ったことのある場所や触ったことのある場所にゲートを設置できるんだよ、バーカ」
背後からは、数万を超えるギビンデルク帝国の兵士が押し寄せていた。
一方で、8大魔王クラスの実力者たちは国境で侵攻を防ぐために出払っていた。
「ならば、狂戦士ゼーニャ、賢者ナタリー、聖女ジーラ、その他大勢は帝王様の生贄としてここで斬首する」
三人は縄で縛られていた。ガロンザバスは長剣を握りしめている。
その時、外から悲鳴が響き渡った。建物が破壊され、民衆が無残に虐殺されているのだ。
「やめて」
「叶わぬ願いだ。敗れた国の末路とはそういうものだ」
「こんなことが、賢者の世界で……」
賢者ナタリーが叫んだ。
「ざんねんだが、魔法は封印させてもらったよ。スキル【キャンセラーエンペラー】」
「あなたは?」
「ヒカリリスト、七大将軍さ」
緑色の長髪で、どこか柔らかい印象を持つ女性だが、黒髪にも似ている。声も不思議と柔らかかった。
その時、一人の青年が近づいてきた。
ゼーニャの首に手をかけ、顎を持ち上げる。
「ほう、こいつらがガルフ王の女か」
「ヴィディ様、あまり近づかせないでください」
「そもそも、ガルフ王はまだ生きているはずだ」
「そうよね」
ゼーニャ、ナタリー、ジーラの瞳からは涙がこぼれ落ちた。
「いつか、あなたたちはガルフに殺される」
「それは負け惜しみだ」
その時、ローブを纏った男が現れた。
「お前たちを俺の女にしてやろうと思っていた。もう俺には肉体はないがな、だから復讐だけだ」
「ハルガド?死神に魂を売ったのか」
「はは、そうだ」
「では、再会は終わりだ。この国を全て頂こう。命などいらない。壊せばガチャができるからな」
ヴィディ帝王の手元には、無限に増え続けるガチャ券があった。だが溢れることはなく、まるでアイテムボックスに収納されているかのようだ。
「破壊の規模が大きいほど、もらえるガチャ券も増える。君たち三人は重たいから、とてもとても大量のガチャ券が出るかもしれない。S級や七大将軍が増えるかもな」
ヴィディ帝王が剣をガロンザバスから受け取る。
「じゃあ、さようなら」
剣が振り下ろされた瞬間、城が激しく揺れ、爆発が起きた。
振動に耐えきれず、ヴィディ帝王も転倒する。
「いたたた」
「おい、ガルフ、着地が悪いぞ。こういう時は決めポーズだ」
「うるさい、ギーヴ。俺の真上で決めポーズ取るな」
「あ、取り込み中みたいだぜ」
「ガルフ様?」
その場にいた全員が唖然とした。
ガルフは剣を握りしめていた。
ゼーニャは即座に身を翻し、賢者ナタリーと聖女ジーラを確保してガルフの元へ駆け寄る。
だが、ヴィディが剣を投げつけた。
その剣はゼーニャの背中に突き刺さり、彼女はゆっくりと倒れた。
ガルフは瞬時にそれを支えた。
「ジーラ、回復を頼む」
「はいですわ」
ゼーニャの口からは血が流れている。
「世界樹の酒は効果がないのか?」
「恐らく、あの帝王のスキルが破壊系だからでしょう」
「そうか」
ガルフは冷静だった。
「ギーヴ、やれるか?」
「ああ」
意識が薄れていく中、ゼーニャはかつての友を見つめていた。
だが、その体はアルビノのように白く、まるで死体のようだった。
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