ぼくたち気ままな旅人だ

沼津平成

第1話 t字路とT字路は別物だ

「ららら〜♩ ららららら〜♩ ライトにレフトにレイト〜は〜、いつも仲良し3人組さ〜♩」

 

 こんな歌を歌いながら、無限に広がる野原を、3人の旅人が歩いていました。ジャウロ湾に面した岸辺に、この野原は広がっていて、水切りでしょうか、ときおり「ぽちゃん」と音が響きます。それが気持ちよいのです。

 しばらく進んでいると、3人は足を止めました。


「曲がり角だよっ」とライトは言いました。

「そうだね。T字路だ」とレフトが答えました。「どっちに進もうか」

「さっきぼく、道で怪文書かいぶんしょなるものを見つけたんだけどね、それによれば、『まっすぐ進め。』だって」と、レイトがいいました。ポケットに手を突っ込むと、出てきた出てきた。怪文書です。

 

 真新しい文字で、木で彫られたそれは、確かに『まっすぐ進め。』とありました。しかし、これはレイトが書いたものでないか、とライトとレフトはいいました。


「右へ行こう!」とライト。

「左へ行った方が、近道だよ。どこへいくのかは知らんけど」とレフト。

「まっすぐだよお」とレイト。

 

 ジャンケンの結果、パー、チョキ、グーであいこでした。今度はチョキ、パー、チョキで、レフトが負けました。「グーにしようか、悩んでたのにな……」と言いながら、レフトは引き下がりました。

 ライトとレイトのじゃんけんは、しばらく続きました。昼になって、昼下がりをまわって、ようやく決着がつきました。


「くたびれたよ」とライトがいって、降参をしました。結局まっすぐ進むことになりました。ジャンケンには実に3時間かかったとのことです。

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ぼくたち気ままな旅人だ 沼津平成 @Numadu-StickmanNovel

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