冒険者は怠けて生きたい。

人型

第1話 あらすじ

農民の三男に産まれると将来は悲惨でしかない。


「アレンさんの登録を完了いたしました。貴方の輝きある冒険者生活を心より応援させていただきます。」


農民の三男は悲惨である。

長男は家業を継ぐために、次男はスペアと長男を支えるために、三男はという...


〜5日前〜

「すまんなぁアレン...」


はぁ...まぁ、こうなると分かっていたものの仕方ないと理解はしている。


「仕方ないよ、父さん。うちには三男を置いておけるほどの余裕はないから...」


三男はどの家庭に置いても不遇である。


貴族の三男は血を繋ぐために、婿に取られるかもしくは王国軍に死ぬまで使われる。

平民の三男は商人に丁稚に出されるか、こちらも王国軍に属することとなる。

農民の三男は王国軍に属することすら許されないのだ。

理由は色々あるが最も大きな課題は、軍属するには入軍前に金を払う必要があるのだがそれが払えない。

なら軍人にならなければいいじゃん?と、思う賢い人がいるだろう。軍人はある意味優遇されているのだ。まず、軍役で怪我をすると見舞い金。死亡するとさらに多くの金が遺族へと支払われる。金とは偉大だよ生きていくには金がいる、明日の飯も寝床も金がなければどうしようもないのだ。

そして、王国軍は実力主義のため貴族であろうが平民であろうが武力さえ持ち合わせれば上えと登っていける。

だが、農民は違う。 

農民の三男がなれるものは二つしかない。

野盗へ落ちるか、冒険者になって成り上がるかの二つに一つなのだ。


「父さん俺、冒険者になってバカみたいに大きな家を立てて、死ぬほど美味いもの食うことにするよ。」


「すまねぇなぁ、アレン...」


「もう、そんなに謝んないでよ!それじゃ行ってきます!」






まぁ、そんな感じで家を出て冒険者になった。

でも、父さんには謝って欲しい...何処の親が!冒険者になろうとする息子に!棍棒と3日生きていける小銭だけ持って旅に出すんだよ!!!!!!!

謝んなくていいって言ったけど!!!棍棒はあんまりでしょ!!!



「もしも〜し!アレンさん?聞いておられますか?ずっと上の空ですけど...」


「あぁ、すいません。あんまり聞いていませんでした...息子の旅立ちの日に棍棒を渡してくる親の顔がちらつきまして。」


「うふふ、正直なのはいい事ですよ。棍棒はまぁ、しょうがないですよ...」


「まぁ、納得はしてますからいいんですけどね...はぁ、すみません最初から説明して頂いても?」


「構いませんよ。では、改めて...冒険者ランクの説明をさせていただきます。冒険者ランクとは、迷宮の攻略や所持しているスキル、及び遺物と呼ばれる迷宮より産出された特異な能力を持つアイテムによって決まります。遺物ですが、基本的に自分の人体に対して使われるものが全般ですので、遺物を使用した際に起こるどのような変化も当ギルドは責任を取りかねます。とここまでがおおまかな概要となります。質問はございますか?」


「了解しました、何度も説明させてしまい申し訳ありません。この辺りで産出される遺物はどのような物が?」


まぁ、なんとなかで知ってはいるんだけどもやっぱり再確認って必要だろうし。


「全然構いませんよ!それが仕事ですから!

そして産出される遺物ですが...ありとあらゆるものが取れます、なんたってここは渇望と冒険者の街フレンダリスですから!」


はぁ、金を渇望し怠惰を渇望し、そして何よりも命渇望する。ヤダヤダ、楽して生きたいなぁ...

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