昔話①


 むかしむかし、あるところに良治という勇敢で豪気な少年がおりました。


 良治の家は小さな村の中でもたいそう貧しく、彼のお父さんは隣町へ出稼ぎに、お母さんは畑へ農作業をしに行くのでどちらもの親が日暮れ前に返ってくることはまずないような、そんな家の生まれでした。


 けれども。そんな彼には優しく、賢い友人がいます。それは権太という少年で、彼よりも小さな体躯と、それに見合わぬほどの賢い頭を持ち合わせた友人でした。


 権太は神社の息子で、彼とは親が税を納めている時に出会うようになってから、お互いに親の目を盗んでこっそりと遊んでいました。そのうちに二人は自然と仲良くなっていきました。


 毎週木曜日、それが二人の約束の時間。

 小さな少年たちの、大きな秘密でした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る