三殺事件

Red

第1話 ジャックザリッパー

  2088年、この世界は第三次世界大戦により、すべての大陸が汚染され、使えなくなった。

 残された人間達は太平洋の真ん中に「アトランティス大陸」を作った。そこは汚染されず、波も穏やかで平和な場所だった。

 その「アトランティス大陸」には様々な国の人間が集まった。いつのまにか人口は500万を超え、土地面積は日本の大阪程度になった。

 土地が異様に大きいのはまだ会社などの施設が整っていない状態で仕事を求める人間達のために土地の拡大作業を仕事にさせた為だ。ピラミッドを作る理由にも似ている。

 アトランティス大陸は東西南北と中央地区に分かれており、東は都市、西は中華、南は西洋、北は和風と分かれている。

 各国の政府は過ちを繰り返さないためにアトランティス大陸を「皆が協力し、分かち合える空間」と称した。

 各国の努力もあり、この「アトランティス大陸」は平和になった。



 この平和な大陸に悲鳴が鳴り響く。

「ジャック・ザ・リッパー」彼女は出会う人間を皆殺し、街を歩いていた。


 △△△(これはまえがき、あとがきを分ける為に使う記号です)


 夜の路地に悲鳴が響き渡る。

「こんな暗い中出歩くなんてほんと馬鹿だね」

 そう言い放ったのは黒い服に身を包んだ少女「ジャック・ザ・リッパー」だ。

 身長は143cm。年齢はかなり低そうに見え、黒い服と長いスカートを着ている。肌は顔以外殆ど出しておらず、頭には水色の猫耳フードを被っている。目と髪は水色に美しく染まっており、不思議な雰囲気を漂わせていた。

「ふぅ………今日はこれ程度で帰ろっと」

 ジャックはそう言い、腕周りについているレバーを引いた。

 するとジャキ、という音と共にナイフが袖の中に入っていった。

 ジャックは腰回りに付けている機械を作動させた。するとジャックの前方にワイヤーが飛んだ。飛んだワイヤーは壁に突き刺さっている。

 ジャックはそのワイヤーを縮め、大きく飛び上がり、建物の屋上に着地した。そして建物の屋上を伝い、何処かへと向かった。


 ジャックはとある一つの建物についた。周りに人はいない。

 その建物はどうやら元は使われていたアパートのようだ。レンガ造りで汚れが目立っている。ジャックはその建物に裏口から入った。

 中はとても暗い。床が木でできており、家具などは埃を被って放置されていた。所々に蜘蛛の巣が張ってある。

 ジャックは床にある木の板をずらした。するとその下には空間が広がっていた。ここがジャックの拠点だ。かなり狭いが生活に必要な物は全てある。

 入って左にベッド、シャワー、トイレの順。右側には広い作業机、キッチン、物置、洗濯機の順だ。壁や床は白いが所々に赤いシミがある。作業机の上にはなにやらよく分からない機械が散乱していた。

「ただいま、リッパー」

 そう言うジャックの前には一匹の猫がいた。真っ黒な毛を持ち、目は水色だった。

「ニャー(おかえり、ジャック)」

 リッパーがそう言う。

「ニャー(飯をよこせでください)」

「はい、ご飯ね」

 ジャックはそう言い、頭に付けてあるフードとマフラーを脱ぎ捨て、棚にある猫用の餌を手に取り、そして普通にリッパーに飯を与えた。

 ジャックの髪の毛は肩元まで伸びていた。

「今日はもう疲れちゃった、寝る準備しよっと」

 ジャックはそう言い、シャワーを浴びたりご飯を食べたりと普通の人間と変わらない事をした。

 そしてベッドの上に横たわった。ベッドはかなり小さいがそれ以上にジャックが小さいので問題はない。

「じゃ、おやすみリッパー」

「ニャー(ほいよ、おやすみ)」

 ジャックはそう言い、部屋の電気を消した。


 次の日だ。と言ってももう夕方近くだ。

 ジャックは午後三時頃に起き、銃やナイフの整備をした。

 そして夜になる頃、ジャックとリッパーはそれぞれ朝食を食べ、ジャックは外に出た。

 

 外はとても静かだった。街は1800年代のイギリスのような雰囲気があり、石やレンガで作られた家などが密集している。ジャックの家からは八方位に道が伸びており、西方向には時計台のような物があるが三時丁度で止まっていた。

 この街に人は殆ど居ない。その理由はジャックザリッパーという凶悪な殺人鬼が居るからだ。しかし人はこのアトランティス大陸から逃げる事が出来ない。ジャックから完全に逃げる事はできないのだ。

 ジャックは基本東方向に行き、人を殺してまわる。老若男女お構いなしに。

 そして家の中に居ても同じだ。ジャックは家の中に入ってまで人を殺す。そしてそのついでに金品や使えそうな物を盗んで行く。

 ジャックはとある家の中にいた。

 ジャックの前には小さな小さな少女が怯えて固まっている。

「お母さんたち死んじゃったね、怖いだろうね。安心して」

 ジャックはそう言い、どこからかキャンディを取り出した。

 そしてそのキャンディを少女の口にねじ込んだ。少女は恐怖によって固まったままだ。

「じゃあね」

 シャックはそう言うと建物から離れた。

 数秒後、キャンディの中にあった小型爆弾が爆発し、キャンディが爆散した。キャンディの破片は散弾と化し、少女の頭を吹っ飛ばした。


 こんな残虐な殺し方をする。これが「ジャックザリッパー」だ。

 ジャックは夜の街に赤色の花を何輪も咲かせた。



 午前三時頃、一通り人を殺して来たジャックは家に帰って来た。服が他人の血によって汚れている。

「国会爆破するぞ!!!」

「ニャ!!??(気が狂ったか!!??)」

 ジャックの発言に対してリッパーが驚きながら言う。

「んー?いいアイディアだってー?そうでしょー?」

「ニャー……(そんなこと言ってないわ……)」

「3日後どうやら国会に政治家と警備員が大量に来るらしいんだよね、そこにドカンと一発爆弾を落としたら大量虐殺できるかもってわけ!」

 ジャックは腕を大きく広げながら言った。

「ニャー……(まぁ協力はするけど……)」

「警察もこれまで私がこんな大量虐殺を狙ったことがないから油断してるはずだし」

「………ニャー?(………そうか?)」

「で、その爆破をリッパーにも手伝ってほしいんだよね。」

「ニャー?(ワイが?)」

「そう、やることは簡単、警備員に多分『プロテクター』の輩の1人がいるからその人の気を一瞬でもいいから引くだけ。簡単だしリッパーならできるでしょ?」

「ニャー(まぁそれ程度なら)」

「よし!決まり!!3日後の昼の14時に国会爆破実行!!」

「ニャ、ニャー?(お、おうー?)」

 なんとも物騒な話だろうか。

 『プロテクター』とはジャックザリッパーを殺す為だけに生まれた組織だ。人数は基本300人ほど。基本的に体力や技術を必要とするので皆それぞれ鍛えられている。ジャックとも状況が良ければ互角に張り合える。状況が良ければ。

 プロテクターになるには実技試験を突破しないといけない。その試験に挑戦する人の殆どがヒーローに憧れたかジャックに両親などを殺された人だ。

 ジャックはこのプロテクターをもう30人程度殺している。しかも苦戦することはなかった。

「にしても爆弾どうしよう………私達が逃げるほどの余裕は欲しいからな………時限爆弾を赤外線信号で起爆させる仕組みにしようかな?」

「ニャー?(時限爆弾を俺に巻き付けるとは言わないよな?)」

「ふふ、どうしようかな?」

「ニャー!?(絶対にやめろよ!?)」

「ま、そこら辺は明日考えよう。じゃ、おやすみ、リッパー」

 ジャックはそう言い、風呂にも入らず一瞬で寝てしまった。

「ニャー…………ニャ!?(やれやれ、ほんと困ったやつだな…………あれ?俺の飯は!?)」

 しかしその言葉はジャックには届かなかった。



 三日後、ジャックは朝の4時頃に家に帰って来た。

「ニャー?(別に今日の昼に動くんだから夜外に出なくてもよかったんじゃないか?)」

「いや、それだと警察が不審に思っちゃう。毎晩外に出るのに今日だけ出てこなかったら」

「ニャー(まぁ確かにそうか)」

「国会付近の下見はしてきた。けどプロテクターの誰が来るのかはわからないんだよね……」 

「ニャー?(まぁとりあえず気を引けばええんやろ?)」

「そうだね、一瞬でも気を引いてくれればね」

「ニャー?(何時くらいから動く?)」

「んー………11時くらいかな?」

「ニャ(おけー)」

「よし、じゃぁおやすみ……の前にご飯とシャワーを浴びないと」

 ジャックは自分の飯とリッパー分の飯を用意し、その後シャワーを浴びた。

「ふぅ……11時になったら起こしてねー」

「ニャー(了解ー)」

 そう言い、ジャックはベッドに横たわり、寝た。



 昼の13時、ジャックは国会近くの8階建てのビルから国会を望遠鏡で見降ろしていた。国会は東地区にあり、その東地区の中でもかなり発展している。しかし周りのビルは一番高い物で二十階程度で、三十階を超える建物はない。

 国会は周りの建物と違い、五階程度で豆腐のように真四角な建物だった。しかも外壁が白色なのでより一層豆腐感が増している。

 ちなみに国が無いのに国会と呼ぶ理由は立法機関を行う施設をまとめて国会と言う為だ。

「……人が来るまでかなり暇だね」

「ニャー(まぁ出発がかなり早いとは思ったが)」

「まあ油断しないで待っておこう」

「ニャー(せやな)」

 ジャック達がそんな会話をしていた時、エレベーターが動いた。

「ニャー(そんな呑気なこと話してたら話に参加したい人が来たみたいだな)」

「そうだね」

 ジャックは立ち上がり、ナイフを構えた。

 エレベーターからは2人の警官が出てきた。

 ジャックは警官がエレベーターから出てきた瞬間に年老いた警官に飛び付き、年老いた警官の首と体を亡き別れにした。

「う、うああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 若い警官が叫ぶが、誰にもその声は届かない。

 ジャックはその若い警官の両手をとりあえず切った

「私はね、怯えた人間がだーいすきなんだ」

 ジャックが若い警官に迫りながら言う。

「ああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!!誰かああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!誰かァァァァァァァガハァ!!!!!」

 ジャックは若い警官の喉に一本のナイフを刺した。

「そんな叫んだらうるさいよ。少し黙ってもらえないかな?」

「あ"…………が………」

「あ、そうだった、喋れなかったんだね」

 ジャックはそう言い、若い警官から喉に刺さったナイフを抜いた。抜いた瞬間に大量の血が出てきた。そしてそのまま若い警官は死んだ。

 血はジャックの胴体を赤色に染めた。

「あ、抜かない方が良かったかもね。ってもう遅いか」

 ジャックは死体から離れた。

「……ニャー…(……サイコパス…)」

 ジャックは視線を国会に向けた。

「え?もう人が来てる?思ったよりも早いね」

「ニャー(いた、プロテクターの輩だ。11時の方向)」

「………あれは動物使いの………名前忘れたや。ま、そこまで強くはないけど動物が厄介かな」

「ニャー?(とりあえず作戦開始か?)」

「そうだね、もう動き始めよう。リッパーは自然な感じにプロテクターの方向に向かって、車に轢かれないようにね」

「ニャー(了解)」

 そう言い、ジャックは足元にあった袋を担ぎ、ビルから飛び降りた。リッパーもまたビルから飛び降り、作戦の実行へと移った。

 ジャックは少し離れた場所のマンホールから下水道に入り、リッパーは自然な感じに道路を突っ切った。警官が静止しようとするがそれを避け、とりあえず国会の中の庭へと逃げた。

 ジャックは袋の中に入っていた時限爆弾を下水道に張り巡らせていく。

 しかし当然下水道にも警備隊が居た。

「お前!!!何をしている!!!」

 警備隊の隊長と思われる人が言った。

「こんばんは、何してるかはもうちょっと経てば分るよ」

「おい、お前がジャックザリッパーか!?」

「せいかーい☆まぁ知ってるなら話が早いね」

 ジャックはそう言って銃を一丁取り出した。デザートイーグルのように見えるが少し違い、こじんまりとしている。

 ジャックは警備隊の一人にその銃を二発放った。銃弾は綺麗に脳と心臓に突き刺さった。

「あ、ああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

「お前ら!!!落ち着け!!!!バラバラになったら全員殺されるぞ!!!」

「うわあああああああああああああああぁぁぁ!!!!!!」

 隊長の声は悲鳴に掻き消される。ジャックは混乱状態の部隊の中心へとジャンプし、ナイフを振り回した。

 振り回したナイフは隊長、副隊長、若い警官を関係なしに切り裂いていく。そして下水道からの悲鳴は聞こえなくなった。

「ふぅ、早く爆弾をセットしないと時間に間に合わなくなっちゃう」

 その時、ジャックの耳から声が聞こえる。

「ニャー(スタンバイ完了)」

「分かった、こっちはまだかかりそうだね」

「ニャー(急いでな、俺が警官に捕まる前に)」

 ジャックはどんどん時限爆弾をセットしていった。

「よし、リッパー、今から一瞬だけマンホールを開けて赤外線信号受信機をセットする。合図したらプロテクターの奴にアピールして」

「ニャ(了解)」

 車の音が通り過ぎる。

「……………今!!」

 掛け声と同時にリッパーはプロテクターの人間の足元へ行き、プロテクターの人間の視線をかった。

 ジャックは3秒ほど待ち、マンホールを開け、赤外線信号受信機をセットした。

「よし、大丈夫?」

 10秒ほど経って

「ニャー(捕まったけどすぐ解放された。大丈夫)」

「ふぅ、作戦成功って奴だね」

「ニャー(少し離れたビルで待ち合わせよう)」

「分かった。また後で」


 ジャックとリッパーは国会が少し見えるビルの屋上に移動してきた。

「よし、スイッチ入れてみるよ」

「ニャー?(了解、赤外線信号届くか?)」

「わかんない、けどやってみよう」

 ジャックは手に持っていたリモコンを国会前の道に向けて、リモコンのスイッチを押した。

 すると国会前の道のマンホールが少し光った。少しだったがジャックにはそれが見えた。

「……大成功!離れるよ。肩に乗って」

「ニャー(にゃー)」

「………?」

「ニャー(なんでもない、少し猫になりたかっただけ)」

「………リッパーって猫じゃん」

「……ニャー(……確かに)」

 ジャックは肩にリッパーを乗せ、ビルから降りた。

 そしてしばらく路地を道なりに進んだ。

「………?」

 ジャックが右方向を向く。

「……なんか来てる!!」

 右方向には犬が一匹いた。そしてその犬はジャックに襲い掛かった。

 ジャックはナイフを振るい、その犬の首を切った。

「……この町には犬は現れないはず。飼い犬としか考えられない………まさか動物使いのの………思い出した!!ジェニーにバレた!?」

「ニャー!!!(三時の方向!!!)」

 ジャックは右を向き、空から飛んでくる人間の攻撃を受け止め、返り討ちにしようとナイフを振う。しかしそのナイフは現れた男に当たらなかった。

 リッパーはジャックから離れ、陰に消えていったた。

「………お前が………ジャックザリッパーか……ただの少女じゃないか………」

 現れた男、ジェニーが憐みの目をジャックに向けながら言う。

 ジェニーは年齢30歳前半、身長は175cm程度。しっかりとした黒いスーツを着ており、武器は隠されていたが隠れている所は丸わかりだった。

「ジャックザリッパー?誰の事?それより突然初対面の人に切り掛かってくるとか頭おかしいんじゃないの?」

「その言葉、そっくりそのまま返す。俺らの両親を殺しやがって………!!」

「何人も殺してきたからわからないや」

 ジェニーはジャックのその言葉が言い終わると同時にジャックに向かって突進した。

「無作為に突進するのはダメだよ」

 ジャックはジェニーの突進を容易くかわした。

 そしてジェニーがジャックと交差した時、ジャックはジェニーの腹に向かってナイフを振った。

「………まぁ、そうなるよな」

 ジェニーがそう言う。

「よかったね、お腹に防弾チョッキつけてないと死んでたよ」

 ジャックはジェニーから奪い取ったナイフをクルクルと回しながら言った。

 ジェニーが腹に付けていた防弾チョッキはジャックの攻撃によってビリビリに引き裂かれている。

「あぁ、そうだな」

 ジェニーがその言葉を発した後、影から2匹の狼が出てきた。

「動物を捨てるなんて………可哀想だね」

 そう言うと、ジャックは片方の狼の首を切り、もう片方の狼の上半身と下半身を亡き別れにした。

「まぁこれが避けられるのは想定済み、ただの時間稼ぎだ」

 ジェニーは狼が稼いだ時間で新しいナイフを取り出した。

「へぇ、何の時間稼ぎなの?」

「教えるわけな……」

「虎2匹、ライオン1匹、黒豹2匹を待ってるのかな?」

「……………何故それを知っている」

「さぁ、なんでだろうね」

 ジャックがそう言うと虎2匹のうち1匹が影から出てきた。ジャックは虎の首を容易く掻っ切り、ジェニーに突進する。

 ジェニーは拳銃をジャックに向けて撃つが全弾避けられ、ジェニーはジャックに肩を刺された。

「ぐあぁ!!!!!」

「まだそれだけじゃないよ?」

「……………他に何があるって言うんだ……」

「お前が用意したライオンさ、真後ろにいるだろ」

 ジャックは後ろから来るライオンの突進攻撃を屈んで避けた。ジャックが小さい為、ライオンの突進は屈んでいるジャックを飛び越え、ジャックの前にいたジェニーに当たった。

「ああああああぁぁぁぁぁ!!!!」

 ライオンは一心不乱にジェニーを攻撃する。

「よかったね、最後のひと時に自分の仲間と過ごせて」

「あああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

 ジャックはライオンの首をナイフでズタズタにして切り落とした。ライオンは抵抗する暇もなく、一瞬でジャックに殺された。

「さ、他にも私を狙う動物がいるからね。とりあえず邪魔にならないようにあなたは死んじゃえ」

「う、うあああああああああああ!!!!」

 ジャックはジェニーの首をライオンと同じように切り落とした。ジェニーは一瞬で死んだ。

「さてと、リッパー、何処に何がどんだけいる?」

 リッパーはビルの上にいた。

「ニャー(ジャックから見て4時の方向に虎1匹、9時の方向に黒豹2)」

「やっぱり挟み撃ちにしようとしてたんだね。」

「ニャー(ほら、そろそろ来るぞ)」

 先に虎がジャックの下へと来た。しかしジャックは一歩たりとも動かない。

 虎がジャックに噛みつこうとした時、後方からとんでもない轟音と衝撃波が来た。それと共に強い光も飛んできた。

 そして地面が揺れ、虎の真下にあったマンホールが吹き飛んだ。虎は飛んできたマンホールに巻き込まれ、空遠くに飛んで行った。

 ついでにジャックも衝撃波に飲まれ、少々飛ばされた。

「いてて………リッパー、大丈夫?」

「ニャー(ああ、大丈夫だ。)」

「この轟音と衝撃波で黒豹達は大暴れするだろうね。私たちのことなんか忘れて」

「ニャー?(最初からそれを狙っていたのか?)」

「いや、そういうわけでもないね。とりあえず何故プロテクターにバレたのかって話さ」

「ニャ、ニャー………(じ、実はあんま上手く視線買えてなかったかも………)」

「よし、今夜の夕食はこのネコかな?」

「ニャー!!!!!(ごめんごめんごめんごめん!!!!!)」

「アハハ、そんなアホらしいこと話さずさっさと帰るよ、肩に乗って」

「ニャー(ほいよー)」

 リッパーは壁を伝い、地面に降りてきた。

「…………まぁ実際はリッパーが捕まえられた時に匂いをアイツの犬か何かが嗅いでそれを追いかけて来たとかだと思うけどね」

「ニャー(なんやねん)」

 ジャックはリッパーを肩に乗せたまま、ビルを伝い、家へと向かった。

 ジャックの後方には黒煙と炎と悲鳴があがっていた。



「ふぅ、作戦はギリ成功だね」

 ジャックとリッパーは家に帰って来た。

「ニャー(ごめんな、自分がもっと上手くやればお前が怪我しなくて済んだのに)」

「そんな、怪我って言っても少々足を擦っただけさ。しかも根本的な怪我の原因は自分が爆破を起こそうって言ったのだし」

 ジャックは足の治療をしていた。

「よし、これで完了っと」

 治療と言ってもただ血をふき取る程度だった。

「ニャー?ニャー(ところでプロテクターの奴らって本気でジャックを殺しにかかってるのか?あまりにも弱すぎる)」

「あれでも自分に恨みを持った奴らだから普通の人間よりかは強いはずだよ」

 ジャックは立ち上がりながら話した。

「ニャー(ところで飯ください)」

「はいよ、今日はリッパー頑張ってくれたから少々豪華に缶詰をあげてやろう♪」

「ニャー(おっしゃおらあああぁぁぁ!!!)」

「ふふ、喜んでもらえてよかった。私もご飯食べるか」

 ジャックはそう言い、リッパーと同じように少し豪華な飯を食べた。


 △△△


 午前二時、電話の音が響き渡っていました。

 ジリリリリ、ジリリリリ。

「はい、もしもし?」

 男は唸る電話を取りました。

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