第14話 探索
ここは典型的な
床は石畳で、壁は一面骨である。
骨の種類は様々だった。脊椎、肩甲骨、腸骨、大腿骨、その他諸々。
ようやく周りが見渡せるようになった。
スケルトンが良く出るらしい。
満月や新月には、いきなり壁が動き出したりする。アイラ談。
俺達三人組、即席パーティーはダンジョンの探索を始めた。
ここは比較的浅層で半月なので
とはいえ。
「この通路は気をつけた方がいいわね」
アイラは言った。
両脇にギッシリ頭蓋骨が埋め込まれた通路である。
壁を見つめていると頭蓋骨と目が合った。
微かに笑ったような気がする。
「コイツらはこの通路から出てこれない。
遠回りになるけど、別のルートがあるからそっちから行きましょ」
「フフフ大丈夫ですよ。エド様、ちょーっと待っててください」
ヴィオラは通路に足を踏み入れる。
と、壁がズワッズワッと動きだした。
動き出した壁は骨となり組み上がりスケルトンの群れになる。
ヴィオラは大きな
さっきちょっとだけ持たせてもらったけどガチで重たかった。
「おリゃーぁ!」
勝負はあっという間についた。
ヴィオラは最初の横殴りの一撃で2体を粉々にし、次の上からの二撃で1体の頭蓋骨を割った。
三撃めと四撃めでさらに3体を粉砕する。
五回目にヴィオラが
皆、必死でもといた壁に戻ろうとしている。
数秒後、全ての骨は元いた場所に収まった。
「通れますよォー、エド様ァー!と赤毛ノッポ女」
『敏捷さと
俺とアイラはヴィオラの先導で通路を通る。
俺が壁の頭蓋骨を見つめると、今度は頭蓋骨はそっと目をそらした。
スケルトンも戦う相手は選ぶようだ。
「強いわね」
ダンジョンのベテランのアイラは言った。
探索は、要はマッピングなのだが、こちらは本職のアイラがいる。
アイラは手帳に几帳面に記録をとっていく。
俺はそばで見ているだけだった。
まあ俺は
さて、南側の通路にも光の壁はあった。
南もダンジョンは閉鎖されている。
「北の壁からここまで約350メートルってとこかしらね。
割と大きいマッドハウスね」
アイラは言った。
その後は東側を確認することになり、角を曲がる。
アイラは壁にチョークで何か描きつけている。
多分目印とかそういうヤツ。
そして手帳にも何か計算している。
俺とヴィオラは一旦休憩だ。
「私の
ヴィオラは
「素晴らしいよ」
僕は素直に賞賛する。
「赤毛ノッポ女はどうか知りませんが、私はどうなってもエド様の味方ですからね」
ヴィオラがヒソヒソ声で言う。
「聞こえているわよ!」
アイラが鋭く言った。
ヴィオラと誓約したのは俺だ。
ヴィオラは味方とみていいだろう。
とりあえず一度ダンジョンから出るまでは。
一方のアイラは
俺としてはマッドハウスが時間経過で解除されるまで待っても良かったが、自力解除にこだわったのはアイラだ。
アイラの態度が演技なら、アイラは俺の手に置けない大悪党である。
もう考えても無駄だ。
「あそこ落とし穴があるっぽいわね」
角を曲がってしばらくしてアイラが言った。
アイラが指さす先は薄暗い通路の向こうの方だ。
俺には良く見えない。
「あー、なんかありますね。石畳が途切れてます」
ヴィオラが言った。
繰り返すが俺には見えない。
二人が言うならあるんだろう。
駆け出そうとしたヴィオラをアイラが止めた。
「落とし穴が一つとは限らないてしょ」
「やーだー、うっかり、テヘ」
俺達はパーティーとして成立してると見て良いだろうか。
希望的観測として、だ。
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