レガリアと亡国の王子~スキルが付与された宝石を駆使して美少女ハーレムゲットだぜ!~
月陰 耀
第一部 宝石と仲間たち
第一章 宝石の力
第01話 リオス・ウル・レグリオン
「起きてください」
耳触りの良い柔らかな声音が俺を覚醒に導いた。
机に突っ伏していたせいで身体が痛い。
眼を開けてみると目の前には受付嬢の豊満な胸が映った。
受付嬢のラウラ・リトリッヒはにこやかに笑った。
「ギルドの中だからって不用心ですよ? リオスさん?」
「ごめん。つい疲れちゃって」
「一人で無理をするからですよ。クエストは仲間を募った方がいいですよ」
「そうなんだけどちょっとね」
「そういえばリオスさんの下の名前って何ですか?」
「ごめんねあまり言いたくないから隠しているんだ」
「そうなんですね。それでしたら深堀しませんから」
「あはは、ありがとう」
俺はリオス。リオス・ウル・レグリオン。亡国の王子だ。
外は夜のようだった。明りに反射して俺の姿が不意に目に留まった。
自分でもびっくりするくらい容姿端麗な若い男。金髪碧眼の綺麗な男。身なりを整えれば立派な王子だが、いまはゆったりとしたマントを羽織り、腰に剣を差した、ただの冒険者だった。
かつてはこんな生活なんて想像もつかなかった。
「リオスさんくらいカッコいいなら女の子の冒険者はいちころですよ!」
「はぁ……。それはありがとうございます……」
俺はリアクションに困り、苦笑を浮かべる。
「見ろよ、あいつ、装飾品で飾った成金冒険者だぜ」
「そんな金があるなら装備の新調に使うのにナルシストな奴だな」
他の冒険者たちの嘲笑が胸に刺さる。
俺の身体にはアクセサリーがたくさんあるからだ。
「あんなの気にしちゃだめですからね?」
「あはは、でも事実ですからねぇ」
このアクセサリー、いやアクセサリーに使われている宝石はレガリアという。魔石を用いて作り上げられた特別な装飾品だ。
「でも、どうして冒険者なんて選んだのですか? それだけの装飾品、売れば一生分暮らせるだけのお金が手に入るのではないですか?」
「これは大切な形見でどうしても手放すことが出来ないんだ。それに他にもやらないといけないことがあって、報酬のいい冒険者をしようと思ったんだ」
「そうなんですね。リオスさんも大変ですね」
「はい……」
冒険者ギルドには様々な人たちがいる。老年のベテラン冒険者から、若い新米冒険者。他にも荒くれの野郎どもから、オシャレな可愛らしい女性冒険者まで様々な人間が冒険者として登録をして、魔物や魔族を討伐したり、お使いや便利屋まがいな雑用などをこなしたりして生活している。
「マーク。ちょっと待ってよ! そんなのあんまりよ……」
「そう言われてもこれはパーティの総意だ」
クエストボードの前で一つのパーティが言い争いをしている。
どうやら女性冒険者が詰められているようだ。盾を持ち、腰に剣を差した前衛の剣士だろう。若い冒険者だ。少女といった方がいいくらいだ。歳は十八くらいだろうか? まだ成人したばかりだろう……。
栗毛の長髪を束ねた可愛らしい女の子だ。
「魔法も剣士もどっちも中途半端でまともに仕事が出来ていないじゃないか!」
「それは今後なんとかするわ! いまは時間が必要なの!」
「君の境遇には共感するよ。でもこっちだって生活がかかっているんだ!」
「ちょっと、待って! お願い! おいていかないで!」
「君を追放する」
少女は膝から崩れ落ちた。
「ラウラさん。こういうのはよくあるのかな?」
「残念ですが少なくはないです。パーティ追放で廃業するすることもありますから」
「そうですか」
俺は小声でラウラに訊いてみた。
やはりパーティ追放はよくある事らしい。俺はどうしたものかと少女を見つめていたらつい目が合ってしまった。
「っ!」
「え?」
少女は詰め寄るように走りだすと俺の隣に座った。
「あの! 孤高の成金冒険者さんですよね?」
「はは! まぁ、そう呼ばれているね」
少女は目をクリクリと輝かせながら俺を見つめている。何か嫌な予感がする。
「私を仲間に入れてくれませんか?」
俺は想像通りの展開に天を仰いだ。
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