「姉さん」
小出清亮
0.
姉さんは死んだ。
父さんは信じられないと言って、ずっと泣いていた。母さんはそれを
そもそも、父さんの方が姉さんを
今年から高校生になった僕が言うのは少し気恥ずかしいが、僕は姉さんが大好きだった。だから、父さんに負けず劣らずなかなか立ち直れなかったけど、母さんに説得され、学校は休まなかった。
周りに姉さんの死は伝えなかった。母さんが一生懸命準備してくれた葬儀は、家族だけの小さなものだった。お通夜なんて大それたこともせず、近しい人だけを招いてお葬式をした。
「家族以外に伝えるのは、
まだほとんど、もしかしたら誰にも連絡をしていないのかもしれない。父さんはまだ動けないし、誰かに事情を説明するとなると、それは母さんの役目になってしまう。そうした時に、姉さんが死んだという事実を誰かに話してしまうことに、母さんは耐えられないのだと思う。
だから、まだ姉さんのベッドも洋服も、何もかも部屋に残っているんだと思う。亡くなった時に着ていた服も丁寧に畳まれて置いてあった。僕は誰もいない部屋で、ちょっとだけその服を抱きしめた。
僕を守ってくれてありがとう、姉さん。
僕を育ててくれてありがとう、姉さん。
僕たち家族を
姉さん。姉さんが大好きだったよ。
おやすみ、姉さん。
明日の学校は、サボることにした。
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