第7話

 「この世界の魚もうまいな。これならしばらくは魚だけでいいな」


 森の中で焼いて食べる。調味料も買えればよかったな、と思っていたがこれだけでもうまい。そうだ、アネットさんに魚の差し入れをしよう。助けてもらって、色々親切にしてもらったことだし、お返しをしないとだし。アネットさんの家は森の中にあったからな、海の魚を持っていこう。

 また、海に戻って少し釣ってこよう。


 食事を終えた僕は、海へとまた歩き出した。


 「これだけ釣れればいいだろう。選んで価値の高い魚釣ったし」


 すっかり夕方になってしまった。【クーラーボックス】に入れれば多少は持つけど、新鮮なうちのほうがいいからな。アネットさんの家まで急いでいこう。

 そうと決めて、呪文で道具を片付けて、走り出した。




 「アネットさん、こんばんわー。差し入れを持ってきたんですけどー」


 鍵のかかっていない扉を押し開ける。返事がない。あれ、いないのかな。中に入って部屋の中を覗くと、荒らされていた。きれいに整えられていた部屋は、見るも無惨な姿に変わっている。まるで何かと戦って、荒れてしまったような、そんな形跡だ。


 「まさか、アネットさんが連れさらわれた」


 どうなのかはわからないがそんな想像が横切った。いや、もしかしたら朝になったら戻ってくるかもしれない。かすかな希望にかけて、この夜を過ごすことにした。


 空は雲に隠れて、星が見えない。













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