「通貨」か「仮想通貨」か。それが問題だ。
メタ社(前身のフェイスブック社を合わせて)は、過去に電子決済手段としていわゆる「暗号資産」を世に問うている。
2019年に現実の主要通貨の価値にリンクした「ステーブルコイン」の一種である暗号資産diemを開発していたが、国際社会の賛同を得られず中断を余儀なくされた。当初リブラと呼称していたこの暗号資産は、「通貨発行という国家主権に抵触する」という懸念から各国の賛同を得られなかった。
テロ組織などのマネーロンダリングに利用されかねないという懸念も、リブラ(diem)にとってマイナスに働いた。
暗号資産そのものの是非について本稿では触れない。現時点では過剰に投機的であること、金融テロの標的とされやすいことなどのマイナス面があることは事実である。
暗号資産がリアル・マネーに並ぶ安定的な決済手段として確立されるためには、そうしたネック項目を乗り越える社会的な努力が必要であろう。
「メタバース」という仮想空間を設定し、そこでの諸活動を想定した場合、当然経済活動をも包含する必要がある。メタ社が「自前の決済手段」を志向するのは自然な成り行きだろう。
仮想空間に為替取引や送金手数料が発生するのは、ナンセンスだとも言える。電脳空間に国境を持ち込むのは過去にとらわれた発想ではないか。
ザッカーバーグはステーブルコイン創設を放棄したわけではなかろう。条件が整う瞬間を静かに待っているはずだ。技術的な準備は既にできている。後は国際社会が受け入れられる条件を整えるだけで良い。
メタ社がやらなくても、既に暗号資産は世の中でポジションを固めている。「それらよりも良い」ものであると証明できれば、否定すべき理由はなくなるはずである。
ザッカーバーグ、そしてイーロン・マスクは暗号資産を手掛けて投機的に儲けようという意思はないはずだ。そんなみっともない真似をしなくても、既に十分な富を築き上げている。
マスク率いるテスラ社は一時ビットコインを大量購入したが、既に大半を売却した。残り約1000億円分は2024年9月時点でも保有していたことがわかっているが、売却を準備しているという観測もある。
恐らく近い将来に売却するのではないか? ビットコインはあまりにも投機性の高い資産で、一流企業が長期保有するのに適しているとは言い難い。
では、なぜ大量保有したのかと言えば、「確実に儲かるとわかっていた」からだろう。マスクのレベルから見れば、たかだか千数百億円を動かすだけで相場を動かせる商品だったのだから。
マスクのツイート一つで、実際にビットコインの相場は乱高下した。マスクからしたら、サラリーマンにとってのパチスロ以下、小学生の「ガシャポン」くらいの対象ではなかったか。
恐らく、ザッカーバーグもマスクも「投機対象」としての暗号資産には批判的であろう。彼らが望むのは安定的で、オープンな「国家を超越した決済手段」だ。
世の中の誰かがそういうものを作ってくれるならそれを使えばいいし、誰も作らないなら自分で作る。そういう考えで、条件が整うのを待っているのだろう。
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