暴かれた真実

星之瞳

疑惑

ピンポーン。ドアが開くと義母が

「いらっしゃい!待っていたのよ。さあさあ入って」

「お邪魔します」私たちは家の中に入った。

ダイニングには昼食が用意されていた。

「さあ、食べましょう」義母がお吸い物を配って食事が始まった。

食事は和やかに進んだが、私はいつ言い出されるかと緊張が解けなかった。

「雅弘も大きくなったわね。それにしても雅也に似ていないわね、本当に雅也の子?綾さんの不貞の子なんじゃない」

始まった。私はそう思ったが唇をかんでうつむいた。

「母さん、なんでそんなことばかり言うの、違うって何回も言ってるだろう」

「冗談よ、冗談」義母は笑いながらそう言うが、私は全く笑えなかった。


家に戻ってからも私の心は晴れなかった。

「どうした綾?母さんから言われたことを気にしているのか?」

「うん。雅也さんあなたもしかしてお母さんが言うこと信じているってないわよね?」

「まさか、そんなことないよ。綾のこと信じてるし雅弘は俺の子だ。俺達税理事務所に同期で入って、ずっと一緒に仕事して、俺の独立を機に結婚しただろう。それからも仕事もプライベートもほぼ一緒にいたんだぜ。綾がそんなことする時間なんかないし、俺綾のこと信じてるから」

「それならいいんだけど、何で義母おかあさんは繰り返し言うのかしら。そういえば私ね、始めて武次さんにあったときにあなたに似てないなって思ったのよ」

「え、綾もなのか」

「私もって?」

「実はな、これまでも弟を紹介した時初対面の人から『お前に似てないな』と言われたことあるんだよ。最初は小学校の時かな。転校生にそう言われたんだ。高校から別の学校に行ったんだけど、お互いを紹介する時に必ず言われるんだよね。不思議なことに」

「私だけじゃなかったんだ。ね、あなた。今はいいわよ。でも第三者に言われたり、雅弘が物事が解るようになっても言うようだと雅弘が傷つくことになるのよ」

「そうだな。次に言われたらDNA鑑定して俺たちが血の繋がった家族と証明した方がいいかもな。綾、うっぷん溜まってるだろ。次はしっかりと言い返せ。そしてDNA鑑定してお母さんを黙らそう」

「いいの?」

「もちろん、君に任せるよ」

「解ったわ。あなたのお母さんだから揉めたくなくて今まで黙っていたけど次はやり返すわ」

「それでこそ、我妻だ」


そんな話をした翌月、私たちは義実家を訪問することになった。義母からの連絡で武次さんが婚約者を連れてくるから会って欲しいとの事だった。

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