転生吸血姫〜没落した吸血鬼の王女に転生した俺がワケありの美少年に溺愛されてワガママ王子の姫になる?

根上真気

第一章

第1話 プロローグ

 この物語を始めるにあたり、はじめにいささかの説明を必要とせざるをないことがある。

 それは主人公となるヒロインについてだ。

 なぜなら、彼女には三つのややこしい事情が存在するからである。


 ひとつは転生者であること。

 ひとつは転生前の記憶と人格をそのまま保持していること。

 ひとつは吸血鬼であること。

 

 まずは、上記のことを踏まえた上で彼女のことを見ていただければと、お伝えしたい。


 それともうひとつ。

 彼女について、あらかじめご了承願いたいことがある。

 それは、彼女の転生前については多くを語りたくないということだ。

 理由は簡単だ。

 転生前の彼女...いな、彼は、最大限言葉を選んで言えば、バカのつく遊び人だったからである。

 彼の特徴は二つ。


 長所→女にモテること。

 短所→女グセが悪いこと。


 さて、ここで簡単な算数の問題を考えてみよう。

 例えば「+10」と「ー10」があった場合に、それらを「かける(×)」とどうなるか?

「ー100」だ。

 すなわち、それが彼である。

 そして大きくなった彼のマイナスは、いつしか彼の身に降りかかることになった。

 いや、こんな格好つけた表現、コイツにはいらない。

 彼は持ち前の女グセの悪さがわざわいし、数えきれないほど遊びまくった挙句に痴情ちじょうもつれで刺殺され、まだ若くしてその人生を終えたのである。


 どうだろう。

 おわかりいただけたであろうか。

 ヒロインの転生前について語りたくなかった理由が。

 叩けばほこりが出まくりなのだ。

 そんなヤツが、何の因果いんがか異世界の吸血姫に転生してしまったというのだから、この世はまことに奇妙というもの。


 いずれにしても......。


 新たな人生を歩んでいく彼女がどうなるのか。

 前世を反省して悔い改めるのか。

 前世をかえりみずバカを続けるのか。

 それはまだ誰にもわからない。

 そんな彼女を、あたたかい目で見守るも、冷たい目で突き放すも、皆様の自由です。

 しかし、願わくば皆様が、彼女の行く末に、どうか一喜一憂いっきいちゆうたまわらんことを。




[表紙画像]

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