🔥2話 武田晴信のちの武田信玄登場 ※真田幸隆、武田信玄、出陣🔥

 幸隆ゆきたかたちがやかたに入ると、一同館の装飾に面食らっていた。


 幸隆は歩きながら、館の壁を化け物を見るように見つめると「館の中も真っ赤だな。ボケほどにキショく悪い」と苦笑いをするのであった。


 すると、幸隆の横を歩いてた妻のキョウも低い声で「……下品な館ね。反吐が出そう」と暴言を吐いた。


 佐太夫さだゆうも、佐太夫で目をまん丸にして「これはスゴク悪趣味だな。武田晴信ってどんな人なんだ!?」と首を傾げた。そのあとで千代女に、そのまん丸な目で見つめるのであった。


 好きな男に見つめられて千代女は顔を真っ赤にさせ「そんなこと言わないで!!先をいそご!!」と言って佐太夫の手を掴んで、幸隆一行を武田晴信の部屋まで案内した。


 そして、千代女は黄金の扉の前に立ち、ドアを勢いよく開けるのであった。部屋の奥の大きなイスの上にその男が座っていた。


 血走った目に、プクプク太った体を震わせながら「俺は天下最強の男、武田晴信だ!!」と、その男は叫んだ。


 思わず驚いた幸隆は小さな声で「……なんだ、この痛さを極めた太っちょは。こんな奴に平賀源心やられたのか?」と言うのであった。


 晴信は、その小さな声を拾ったのか「き、きき貴様!!今、俺のことを、とんでもなく美しい容姿の貴公子だと!?」と、この館が倒壊するんじゃないと思うほどの叫び声をあげた。


 それから、幸隆は目をキョトンとさせて「何もあってない。」と言った。

 

 晴信はアッと間抜けに悔しそうな顔をしたあと「ぬかせ!!おい、お前、確か、弱すぎて、村上義清むらかみよしきよに、自分の親父の命と、故郷奪われたんだって最強にダセェな!!」と顔の脂肪をブルブルと震わせた。

 

 「……!?」


 晴信はさらに、たたみかけるように「信濃の武将。一回戦ったけど、最強に弱かったな。確か、名前は平賀源心って言ったっけ???」と幸隆に突き刺さるような発言した。


 「…く」


 「ん!?それはひょっとして、平賀源心のこと知ってるのか??」

 

 「……平賀源心は俺の師匠だ」


「はっはは、どおりでだな。最強にダセェ!!このダサさを極めたダサ助が。」

 

 「……く」


 「言い返してみろよ!!腰抜け!!」


 「て、テメェ。」


 一瞬、館内に静寂が走ると、その空気を粉々するように「……おい今、なんつった」とキョウの鋭い声が響き渡るのであった。


 そのあまりに、唐突な出来事に幸隆は「キョウ!?」と彼女を凝視した。


 キョウは言葉の一文字、一文字に熱を込めながら「フンコロガシの糞みたいな顔しちゃって」と重々しい声をあげた。

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