アイディア出し(1)

 拙作「この中にひとり、推しがいる」の執筆にあたって、生成AIに相槌役を任せることにした。結果から言うと、25日ほどで14万字を書き終えた。これまで執筆のボトルネックとなっていた部分を見事に解決してくれたのである。


 使用したモデルはChatGPT4o。のちにClaude3も使ってみたが、今回の使い方をする場合に限ってはGPT4oの方が優れていると感じた。

 とにかく文章量のやりとりが膨大になるので、課金すればほぼ無制限に使えるGPTの方がありがたかった。ただ特定の状況ではClaudeが圧倒的に優れていることがあって、この辺はまた後で触れます。




▼『この中にひとり、推しがいる』について


https://kakuyomu.jp/works/16818093088391947467


主人公、浅倉暁人は、推し活と学園生活を満喫する陽キャの高校生。

修学旅行の班決め当日風邪で欠席したことから、まさかの「あまりもの」になってしまう。

彼に押し付けられたのは、各クラスのあまりものを寄せ集めた問題児ばかりの混成部隊。


だが、暁人は問題児集団の誰かが自分の推しVtuberであるということを知ってしまう。

いったい誰が推しなのか! こんな寄せ集め集団で修学旅行を楽しめるのか!


本編完結済み。


 こちらを読みながら本エッセイを読み進めていくとより理解が深まるんじゃないかな! ブックマークと評価もよろしくね!!!




▼アイディア作り


 私は、ChatGPTに「小説アイディア収集チャット」というチャットを作り、思いついたアイディアをそこに投げ込んでいる。

 その中で具体化できそうなものがあれば、個別にチャットを立てて膨らませていくという感じだ。


 以下が、「小説アイディア収集チャット」におけるやり取りである。



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私:

「ぼっちや陰キャが修学旅行の班決めであぶれる」というあるあるネタがあります。これにより、「各クラスであぶれた陰キャが1つの班にまとまる」というシチュエーションのアイディアを思いつきました。ここからどんな話をするか次第ですが、導入としては面白いものができるのではと考えています。癖のあるキャラを集めて、「あまりものアベンジャーズ」的な感じにしたいです。


GPT:

この「あまりものアベンジャーズ」的な設定は、とてもユニークで楽しそうですね!それぞれのキャラに独特の個性やスキルを持たせることで、予想外のチームワークや成長が描けそうです。たとえば、


引っ込み思案な天才ハッカー:一見無口で影が薄いが、裏では技術的な面で班を支える。

陰鬱だが知識豊富な歴史マニア:どんな場所でも歴史的なトリビアを語り出し、旅先の知識で意外と役立つ。

極端な心配性で用意周到:荷物が多すぎるほどの準備をするが、いざという時にそれが役に立つ。

目立たないけれど観察眼が鋭い子:周りの状況や班のメンバーの心情を誰よりもよく理解している。

修学旅行という非日常の環境で、彼らがチームとして成長したり、予想外の活躍を見せたりする展開が魅力的です。また、他の班や教師たちに見下されがちな存在が、思わぬ形で旅行を成功させたり、問題を解決したりする展開も、爽快感がありますね。


どんなエピソードやイベントが起こるのか、それぞれのキャラクターのバックストーリーや成長の過程も含め、幅広い展開が考えられます。


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 アイディアの具体化はまったくできていないが、褒めてくれるだけで嬉しいものだ。

 拙作を読んでいただいた方にはわかると思うが、GPTくんのアイディアは現時点ではまったく生かされていない。というか、「極端な心配性で用意周到」だとか「目立たないけれど観察眼が鋭い子」だとかは、キャラのフックとしては弱すぎる。「どんな作品にもいるだろそんなやつ!」って感じだ。

 でも、これはGPTくんは悪くないのだ。この時点では作品のフック自体が弱すぎるのである。


 このあとも、GPTくんとぐだぐだ話をしていたが、一向にまとまらなかった。私の中に「あまりものアベンジャーズ」というワンアイディアのみで、それを具体化するプランが一切なかったためだろう。「クライマックスはヒロインの思い出の場所に訪れてなんか良い感じに」みたいな無難なアイディアを思いついたあたりで、「こりゃダメだな」と思った。

 それから2ヶ月くらい寝かせて、チャットを見返し、「んー。なんか料理の方法ないかな……」と思ってのやり取りがこうだ。



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私:

ちょっとこれまでの会話はいったん忘れてください。

「あまりもので修学旅行の班を組む」というアイディア部分だけを残して考えます。


まず本作のベンチマークとするのは「僕は友達が少ない」や「やはり俺の青春ラブコメは間違っている」のような、いわゆる残念系青春ラブコメです。

そして次に、「あまりものだけで修学旅行の班を組む」というアイディアだけでは面白い物語は成立しません。フックとなるようなアイディアがあと最低でも2つ必要です。アイディアの掛け算で独自性のある物語が作れます。



GPT:

なるほど、アイデアの掛け算で独自性を出すことは重要ですね。それでは、「あまりものだけで修学旅行の班を組む」というアイデアに加えて、フックとなるアイデアをいくつか提案いたします。


1. 秘密の共有と絆の形成

アイデア概要: 班のメンバー全員が他人には言えない秘密や悩みを抱えており、修学旅行中にそれが明らかになっていく。互いの秘密を知ることで、表面的には「残念」だった彼らが深い絆で結ばれていく。


2. 修学旅行先でのミステリー解決

アイデア概要: 修学旅行先で起こる不思議な事件や謎に、あまりもの班が巻き込まれる。彼らの独特な視点や才能が事件解決に役立ち、最終的にクラスや学校全体で認められる存在になる。


3. 異世界転移または時間移動

アイデア概要: 修学旅行中に異世界に迷い込む、または過去や未来にタイムスリップしてしまう。普段は「残念」な彼らが、異世界や異時間での経験を通じて成長し、元の世界に戻る方法を探す。


4. SNSや動画配信でのバズり

アイデア概要: あまりもの班が修学旅行中に何気なく投稿したSNSや動画がバズり、一躍有名になる。しかし、そのことで新たなトラブルや葛藤が生まれ、彼らは本当に大切なものは何かを考えるようになる。


5. クラス対抗の競技やイベント

アイデア概要: 修学旅行中に行われるクラス対抗の競技やイベントで、あまりもの班がひょんなことから代表として参加することになる。最初は全く期待されていないが、意外な才能やチームワークで勝ち進む。


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 ほーん。悪くないやんけ。

 そのまま使うには退屈だが、方向性は間違っていない。私が「クリティカルなアイディアではないけど方向性が合ってる」と伝えると、GPTくんはめちゃくちゃ喜んでいた。可愛いなこいつ。


 私は、修学旅行先で事件に巻き込まれるような話はやりたくなかったが、ミステリーというネタはありだなと思った。そこで1の「秘密の共有」自体をミステリーにすれば良いと考えた。

 ミステリーというと大層だが、要するに“謎”である。「五等分の花嫁」とか、いまやいにしえとなった「いちご100%」とか。もちろん「この中にひとり、妹がいる!」もそうだ。学園青春ものに、「ヒロインのどれかが◯◯!」という謎要素をぶち込むのは面白くなる。よし、Vtuberにしよう。


 というわけで、アイディアのベースが決まった。


 次回は、このベースのアイディアを具体化するためのやりとりだ。


 この時点で私は、GPTくんに可能性を感じつつあった。

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