001 えー、またカレー? 昨日も食べたじゃん! って思うワケ!

「あのさぁー、なんでみんな2日目のカレーとか普通に食べれるワケ!?」


「え~っとですね、聞いた話だとですよ、味がしみ込んで美味しくなるとかぁ~ジャガイモが溶けてまろやかになるとか~?」


「いや、なんで疑問形!? ってか聞いてんのアタシなんだけど!? まなちゃん、そこはもっとこう、ズバっと言い切ろうよ、ズバッと!」


「え~でもぉ~、そしたら話題が終わっちゃうじゃないですか~! 一日は長いんですからぁ~、ズバっとやっちゃったら絶対ヒマになっちゃいますよぉ~?」


「んなっ! そ、それは困るっ! ヒマになると一日が長いんだよっ! アレはダメだ、最凶最悪ってヤツだ」


「しぐれ先輩、ヒマ超~っ苦手ですもんねぇ~」


「うんうんっ! ってことでゴメンまなちゃん! もっかい最初からやろっ! な?」


「えぇ~っ! また最初からですかぁ~!? 仕方ないですねぇ~」






―――アストルミナという世界にある、神秘的な森に囲まれた国「エルドラ」

   そこに住む黒耳族と白耳族は、長すぎる寿命に暇を持て余し

   日々どうしようもなく怠惰な日常を送ってしまい

   日々どうしようもない話題でなんとか一日をやり過ごす

   そんな、ミもフタもない

   どうしようもなくユルくて意味のない

   どうしようもない日常会話だけの、そんなお話






「……ってことで~私は2日目のカレーはそんなに嫌いじゃないですよぉ~! でもぉ~冷蔵庫から出すとすごく固くなってるんで~、牛乳を足して濃厚なミルクみを出してぇ~、ぐっちょぐちょにかき混ぜたら~トロットロにして美味しく食べますよぉ~」


「///// ちょっ、ばっ! 表現が所々エロいんだってまなちゃん!」


「えぇ~そうですかぁ~? たまに口の端っこからトロ~ンって零れちゃったりするんですよぉ~? 白いのが~」


「だからヤメなさいヤメなさいっ! 可愛くて若い女の子がそんな事口走ってたら、アタシが挙動不審になっちゃうじゃんっ!! ってか、コレか!? このでっかいオッパイがそう言わしてるんだなっ! このっコイツめっ! 牛乳の栄養は全部コイツに行ってるんだなっ! このこのっ! 揉みしだいてやるっ! このこのっ!」


「でもですよ~、牛乳カレーオススメですよぉ~、特にしぐれ先輩には~」


「まなちゃんはアレかっ!? アタシのこの立派なツルペタが世間では需要が無いって言いたいワケだなっ!?」


「え~っとですよ~、もしヒマな時間が出来てしまった時は~、こうやってプニプニしたり、モニュモニュしたり、ヒマつぶし出来るの凄くないですか~!?」


「ぐぬっ! た、確かに凄いし、うらやましいケド…… んーっだぁーっ! そんなヒマな時間はまなちゃんのオッパイでモニュモニュするから問題なーいっ!」


「えぇ~わかりましたぁ~、んじゃその時はいつでも言ってくださいねぇ~!」


「え、う、うん、ありがと ……っじゃなくて! カレーの話だよ! 牛乳が全部悪りーんだよ! 牛乳も結構凶悪だなおいっ! ってか、カレー作った日はいいんだよ! 出来立てホヤホヤはもちろん美味しいって思うワケ! でもヤツらは次の日になると出来立ての時のツヤツヤが消えてドロっとなるじゃん! あまつさえ固まるじゃん!? きっと冷蔵庫に入れられたヤツらは絶対夜中に何かやってるんだって! ホントこれマジで!」


「え~っとそれはデンプンが~……」


「あっ! それとアレだ! 2日目のヤツらは食中毒持ってんだぞ! アレにやられるとめっちゃくちゃお腹壊すんだ! 折角、えー、またカレー? 昨日も食べたじゃん! つって妥協して喰うだろ!? そしたらアイツら恩を仇で返してきやがる、ひでーヤツなんだよ! まなちゃんも気を付けたほうがいーぞ!?」


「あ、思い出しましたぁ~! うち今日の晩御飯カレーなんですよぉ~折角だからしぐれ先輩も一緒に食べませんかぁ~?」


「えっ、いいの!? 行く行くーっ!」



☆★☆★☆



「あ ぐれちゃんだーっ! いらさーぃ!」


「おうっひなな! 元気してっかー! それと、いらっしゃーい! だな」


「えー? こーぉ? いらっしゃーい!」


「……前髪かき上げんのはやめような?」


「あいっ! んじゃ ぐれちゃんここ はい イスー」


「お、サンキュー! ひななは今日も可愛いなー! うりうりっ! ってクヒふぇふっふぉふぁツッコまないないふぇ!?」


「イシシシっ ひなはー♪ ぐれちゃんのー♬ となりー♪ にすわるー♫ はい イスー! はい ありあとー!」


「!! ひななは一人遊びの天才かっ!? ってかオンチだなっ!」


「ひなは きょう るーちゃんと カエルつかまえて あそびましたっ!」


「おーっ楽しそうでよかったなー? ……帰ってきてから手洗った!? さっき口に手ツッコんだよな!?」


「カレーできましたぁ~! はい、しぐれ先輩の~! はい、ひなちゃんの~!」


「そうそうカレーってばやっぱこう表面がツヤっとしてないとダメだと思うワケ! いいツヤ出てるじゃん! ウマそー、イタダキまーす!」


「らきまーす!」


「じゃぁ~私も頂きまぁ~す!」


「辛っっら! え、辛っっら! まなちゃんなんかすげー辛いんだけどっ!?」


「そうでした~! しぐれ先輩幼女味覚でした~、いまハチミツ持って来ますねぇ~!」


「ぐれちゃん ひなのおいしーよー はい あーん」


「ひななは優しいなっ! んじゃありがたく、あーんっ! !? ……ゴホッ!? ウッゴッ!! 辛゛っっっらあ゛あ゛ぁぁぁーーーっ!!!」


「あれー? からくないよー? ひなちゃんあーん はい ありあとー あーん! うん おねーちゃんのカレー おいしーね! ねっ! ぐれちゃん!」


「辛゛っっっらあ゛あ゛ぁぁーーっ!! 2日目どころじゃねーよっ!! あ゛ぁ゛ぁ゛!!」

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