嘘告で付き合った冴えない男の子が実はめちゃめちゃ強くてかっこよかった

右下の六波羅探題侍りけり

第1話 なるべく人に本性バレたくないタイプなので

見た目と名前は想像で補おう!


—————————————————————

「好きです付き合ってください!」

放課後校舎裏に呼びだられた僕こと俺(名前)はクラスのマドンナである少女(名前)に告白された。

 少女はとても緊張した様子でその右手の爪先を僕の左手の前に差し出してきた。彼女はここまで震えてまでも勇気を出してくれたのか…!なんて思うわけもない。

 

 なぜなら、この告白自体彼女の本心ではなく、彼女が友達にゲームで負けたからその罰ゲームという理由で僕に告白することにしたのだ。そしてそれを昨日教室に使い終わった汗の染み込んだ体操着を取りに来た僕は偶然にも教室に入る前にその会話を聞いてしまったのである。

 A子:「はーい少女のまけぇ!うちを煽るからよー、驕っちゃったのが運の尽きねーういういー」

B子:「A子つよーい!一昨日三連敗したから今日もおんなし流れかなって思ってたけどびっくりぃ!」

少女:「っ!最悪!最後の「tan1°は有理数か」をマクローリン展開してしまったのが運の尽きだったっ!!」

A子:「そこは背理法での加法定理が定石ムーブよ!私はあれから学んだのよ!」

少女:「くっ!二問目をt=x +√x^2 +4で置換するやり方で時短したのに!!」

B子:「いやそれを思いつくまでの時間長すぎちゃ本末転倒でしょ笑」

 いや女子高生ならトランプとかでゲームしろや、なに気づけば一瞬で解ける問題早解き対決!なんてしてんだよ、あとマクローリン展開ってなんだよ海鮮料理かよそれしらんけど近似とかで使うやつだろ。と、心の中でホールもびっくりの疾風怒濤のつっこみをしてしまっていると、

B子:「じゃあ罰ゲームは俺君に告白ねー期間は二週間で!」

少女:「しかもあの根暗かよぉー!さいあくー」

 そしてその最後の会話を聞いた僕は教室のドアを開ける手をそっと離し、体操着を諦めることにして家に帰るのだった。



 という出来事がつい昨日あったのだから警戒してホームルームが終わった後にすぐ帰ればよかったのにっ!なぜ僕はあの時黒板係の手伝いをしてしまったのだっ!

 ついさっき、ホームルームが終わったあと昨日の出来事など完璧に忘れていつも通り唯一の友達であるアルファ君の黒板消しの手伝いをしていたのだ。そのとき、僕1人になったタイミングで彼女から「あとで校舎裏きて」と言われてしまったのである。


 「……………し、ししし少女さんが僕に告白!!?嬉しいです!よろしくお願いします!」

「え、あ、うん!これからよろしくね!(断りなさいよー!)」

 

 ここで告白を断るのは良くない。僕がマドンナである少女の告白を断ったなんて噂が後ろに手鏡の反射を利用しておそらく少女を監視しているA子B子に広められたらと考えるだけでも寒気がする。ならば二週間我慢して「嘘告白でしたー⭐️」と言われるのを待つ方が得か。

 そう考えた”僕はあたかもマドンナからの告白に動揺しつつも歓喜する自分”を演じ、告白をOKするのだった。

 「それじゃあ”明日”からよろしくお願いします少女さん!」

そう言ってこの場から逃げ、後のことは明日の自分になすりつけようとしていた僕を

「ま、待って、付き合うのだから一緒に帰りましょうよ!」

と、おそらくお友達から指令をうけたであろう少女さんに踵を返した僕の腕を掴まれてしまったのだった。

()

 諦めた僕は彼女と一緒に校門まで歩いていくのだった。


「俺君は家どこ方面なの?」

「…東町駅方面だよ。」

「わ、私と同じだね、、なら駅まで一緒に帰ろっか!、、」

ミスった、嘘をつけば良かったっ!

つくづく運がないなと思いながら隣を歩く僕より顔一つ分背が小さい逐一スマホの画面を確認しては苦い顔をしている彼女を見てため息をつくのだった。

 そうしてほとんど会話もないまま気のせいかいつもより重い足取りで帰路を歩いてゆく。


 「きゃっ!」

「いってぇなぁ前みろや!」

「てかよく見たら君がかわうぃいじゃあぁん」

「ねぇねぇ俺今ので傷ついちゃったからか、癒してよ!」

「俺らと一緒にいいとこいこうぜ」

 はぁ、本当に面倒だ、いつもなら鴨がネギを背負ってきたと喜ぶのによりにもよって今かよ、、、

 「やめてくださいっ!」

そういう彼女の腕を無理やり引っ張る自分より10cmほど背が高い金髪の男性とそのとなりの2人と彼女との間に入り込んで”いつものように演技をして”間に入り込んだ。

「や、やめてください!彼女が嫌がってます!お願いします!僕ならどうなってもいいので!」

「…………………俺君、」

「あぁ!?なんだこのガキどっかいってろよ」

金髪の男の仲間と思われる黒髪の筋骨隆々な男に胸ぐらを掴まれた。無理やり弾き飛ばされるのかと思ったが僕の予想に反して僕の体が吹っ飛ぶことはなかった。

「まあまて、最近俺らのシマのやつらが何人も病院送りにされててイライラしてるだろ?

ならここでストレス発散でもしねぇか?」

「ハハッ、そりゃあいいアイデアだ!」

黒髪の男はそういいながら僕の胸ぐらを掴んでいた手を僕の肩に回して

「なぁ坊主、ちょっとこっちに俺らと行こうや、坊主ならどうなってもいいんだろ?」

「は、はい、、」

そのような会話が僕たちの間で完結して歩き始めた時、

「俺君待って!私はどうなってもいいから俺君は離してあげて!」

そう彼女は路地裏に行く僕ら3人に向けて勇気のある言葉を発したのである。

(お願いだからバカらしく逃げ帰ってくれ、罰ゲーム告白をするくらいアホなら見ないふりして帰ってくれ)


勇敢と無謀を履き違えないでほしいものだ。ここで彼女までもついてきてしまったら僕の勇気が本末転倒であることに気づけないのだろうか。


「まぁまぁ嬢ちゃん、せっかく彼氏君がこう言ってくれてるんだからここは彼をたててあげなよ」

やはりバカなヤンキーは役に立つ。少しでも彼には殴られてもいいかもと思ってしまった。

「そ、そういうことだから、、しょ、少女さんははやく家に帰って?」

「ッ!」

彼女は駅の方へ走り出した。


 あぁ、ここがすでに人目の少ない場所で良かった。なぜならこの出来事を知る者は僕ら4人しかしいない。

そしてこれから起こる出来事を刻み込むのは3人しかいないのだ。

そうにやけそうになる頬を手で覆い僕は2人のヤンキーに連れられるまま裏道を通っていくのだった。




少女視点


やってしまった。

私は最低だ、嘘の告白で彼の心を弄び、そして見捨ててしまった。

今にも吐きそうになる。

彼はなんて優しいのだろうか、今日初めてまともに喋った相手を自分の身を犠牲にしてまでも守るだろうか。

今の私は彼が少しでも安全であることを祈ることしかできない。

どうか許してほしい、非情な私を、、。

 酷いことに少し自分が安全なことに安心してしまった私は走るのをやめ、駅までの道を歩き始める。


プルルルル


あぁ、A子からの電話だ。

「もしもしー?彼氏君とはどんな感じ?」

「う、うん、いい感じだよっ」

流れる汗を拭いながら平気なフリをして電話に出る。

「ちゃんとLINEも交換して夜にチャットで話してねー?私たちも見たいからー」

「う、うん。」

「てか罰ゲーム期間伸ばさない?」

「な、なんで?」

「いやー彼氏君のLINE内容と振られた後の絶望顔がみたくなっちゃってさぁ⭐️」

「ごめん電車来たから切るね」


なんて私たちは最低なんだろう!

俺君は純粋な気持ち、純粋な優しさを持って私と接してくれたのにも関わらず私はどこまで彼に最低なことをすれば気が済むのだろうか。

 

 気がつくと私は駅と反対方向へと走り出していた。彼らがどこに行ったのかはわからない。だが、私は走り続ける。人の通りが少なそうな通りを抜けると廃倉庫にたどり着いた。なんとなくここにいる気がした。今からあの2人に土下座をすれば許されるのだろうか。もし私の身体を引き換えに彼の身の安全を確保してくれるのだとしたらそれでもいい。きっと酷いことをしてしまった私への贖罪なのだろう。

 

 そう覚悟を決めて私は倉庫の扉をそっと開ける。




そこで私が見たのは想像も絶するような光景だった。


「…なんで戻ってきたんだよ、」

そう言った彼の声はとても冷たく、そして彼の足の下には”さっきの金髪の男が血だらけで倒れていた”のだ。



—————————————————————

ここまで読んでくれた人はきっといないだろうが、もしいてくれたら本当にありがとうございます。こんな読みにくすぎる物語に時間を使わせてしまってすみません🙇

そしていてくれたら続きを書いてみようと思います。

昨日(12/24)初めて書いた初心者なので情景描写を鮮明に書いたりキャラの心理描写を上手に書いたりすることはまだできませんが、これからも定期的に物語を創りあげて頑張っていこうと思いません!

 社会に出た時には国語力も必ず必要になると思ってなにかヒントを得るために単発物語を不定期であげます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

嘘告で付き合った冴えない男の子が実はめちゃめちゃ強くてかっこよかった 右下の六波羅探題侍りけり @hidarihashinoarietti

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ